小ねた+他かぷ
□懇願
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─────…
気が付けば、元居た真っ暗な部屋。
少しぼーっとしていると、あのまま気絶してしまったことを思い出した。
アニキがおんぶして連れて帰ってくれたのかな…?
自分の体から微かにアニキの香水が香ってる。
立ち上がろうとするオイラを、四肢に繋がれた鎖がじゃらりと音を立てて邪魔をした。
コンコンっ
外から鍵をかけられていた、飾りのようなドアからノックの音が小さく聞こえる。
「野猿?」
低く響く太猿アニキの声。
「太猿アニキ…?」
「ここ、開けてやろうか?今ならγアニキも出かけてて追いかけられることもねぇが…」
「遠慮しとく…」
「なんでだ?野猿は自棄になってるアニキのおもちゃにされてるだけだぜ?」
それでもいい。
今はこんなでも、いつか優しいアニキに戻ってくれるはずだから。
また前みたいに優しく頭撫でてくれるはずだから。
「それでも、オイラはγアニキが好きなんだ」
どうか、優しいアニキに戻ってください。
end