瓜獄

□金魚すくい
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「なぁ瓜…もう帰ろうぜ…」



「やだっ、また来たばっかだろ?」



露店が並ぶ通りを進みながら先程から暑い暑いと愚痴る隼人と、それを宥めて人混みを避けながら歩く瓜。
2人は毎年行われている祭りに来ていた。
というか瓜がやや強引に隼人を連れ出した、という方が正しいかもしれない。



せっかくの夏休みにずっとクーラーがんがんの家に引き込もっている隼人を見て不健康だ、と心配になったんだろう。



「隼人…これ食べれないのか?」



急に立ち止まって目をきらきらさせる瓜の視線の先には『金魚すくい』。
水中を舞う小さく赤い魚に涎を垂らして、瓜の中ではもう観賞用では無く食用と化している金魚。



「ま、待てっ!」



「ん?」



「金魚は食いもんじゃねーんだっ!」



「そーなのかー…」



隼人に指摘され、瓜は黙って何か悩みだした。



「………」



俯く瓜は何かを一生懸命考えてる様子。



「……瓜…?」



「隼人っておいしいのかな?」



「はっ!?」



ぺろっと瓜は隼人の頬に優しく舌を這わす。
すれ違って行く人たちに見られて、あまりの恥ずかしさに隼人の顔は赤くなっていった。



「試してみていい?」



「なっ……」



瓜はまるで隼人を確かめるような動きで背中を撫でて、肩を掴んだ。そして人前だっていうのに平気でちゅっと口付ける。



「ん…っ」



「甘い…っ」



「ったくばか猫っ!」



「隼人…なんか甘いぜっ!」



「そりゃそーだろ、さっきかき氷食ったんだから」



「そっかっ」



今日瓜は2つ覚えた。



金魚は食べれないこと。
あと、隼人の唇が甘いこと。



そして1つの疑問。
隼人は食べれるのか。



家に帰ってまた試してみようと瓜は考えた。
ちょっとえっちな本で調べたことを生かしながら、優しくベッドの上で。










end

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