瓜獄

□猫に風邪
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「にょおん?」



今日はなんだか隼人の様子がおかしい。


朝ごはんの炎もいつもよりおいしくなかったし、顔が赤い気がする。



俺は眉をひそめると、寝苦しそうに寝てる隼人の頬を舐めてみた。



「っ、あ…瓜…?」



「みゅー……」



風邪でもひいたのか。
隼人と触れる部分が熱い。


「瓜…今、人の姿になれるか…?」



そう言われても、今日にかぎって力が出ねぇ。


隼人に元気がない日はやっぱり俺も元気が出ない。
俺は横に首を振る。



「そっか…じゃー誰か連れてきてくれねぇーか?」



「にょおんっ!」



いっつも迷惑かけてるばっかで、いざというときに役に立てない自分が腹立たしい。



俺は急いで隼人のいる部屋を出ると、廊下を走り、すぐそばにあるキッチンにたどり着いた。



「はぁー…」



息を切らしながらキッチンに入ると、山本と目が合う。



「獄寺の猫なのな、どうした?」



必至に鳴いてうったえていると、うまく伝わったのか山本の目が変わった。



「獄寺に何かあったんだな?」



俺が頷くと、山本は隼人の部屋に走っていった。



ふぅ…と安堵の息を漏らすが、正直俺はこいつが嫌い。
いっつも隼人にベタベタして…。
隼人は俺のものなのにっ!



「獄寺、大丈夫なのなっ?」


先に着いた山本が隼人に駆け寄る。



「ったく、よりによって野球バカかよ…」



ベッドの上でため息をついてる隼人に、妖笑を浮かべながら山本は唇を重ねだした。



「にょ、おん…」



俺はドアの前でただ立ち竦むしかない。



「んっ…やまも、と…」





   
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