瓜獄
□俺が一番そばにいる
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「はーやーとー」
名前を呼ばれたかと思うと俺はそいつに抱きつかれた。
「ば、離れろ!瓜っ」
可愛らしい子猫なはずの瓜は、たまにこうやって人間の姿になる。
目は赤く澄んでいて、髪は白くて、所々赤がまざったような色。
「炎…足んねぇーんだよ、ばーか!」
「はぁ…、めんどくせぇーな…」
そう言いながらも俺はリング゙に炎をともした。
「隼人大好きだっ」
いつもこの瓜の都合のよさには腹が立つが、おいしそうに炎を食ってる姿は憎めない。
「ん…」
だが、この人間の姿でぺろぺろと指の炎を舐められいると、なぜか顔が勝手に赤くなる。
「やっぱあんたの炎おいしいっ!…って…顔真っ赤、どーした?」
「っ、何でもねぇー!」
「赤いって…」
気がつくと心臓がすごい早さで動いていた。
「と、とにかく!何でもねぇーから!瓜は早く猫に戻れっ」
「ふんっ、やだ!こっちのが動きやすい」
「俺が困るんだってっ!」
「なんであんたが困んの?」
「それは…」
ちゅっ…
黙っていると、俺の唇に瓜の唇が重なった。
「瓜…っ?何しやがんだ!」
「わかんねぇ…ちゅってしたくなったからしただけだぁーっ」
「なんだそれ…;」
俺は力が抜け、その場にしゃがみこんだ。
「真っ赤な隼人、可愛かったからな」
そう言って瓜はまた抱きしめてきた。
あんまり手加減なくぎゅうぎゅうに抱きしめるから、
果たしてやろうと思ったけど…
抱きしめられて少しだけ嬉しいからそのままにしといてやる。
「なぁ、瓜…これからもそばにいろよ?相棒なんだからな」
「分かった!俺が一番そばにいる」
これからも…ずっと。
end