ディノヒバ

□ドルチェみたいに
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「好きだよ、ディーノっ」



なんて、言えるわけないっ!
あなたの感覚がおかしいんだ…!
「愛してる」とか
ばかみたいに繰り返して。
僕自身、有り難みってのが無くなってきてるような気がする。



僕だって大好きだけど
あなたのこと、世界で1番大好きだけどっ!



そばに居るだけでいいでしょ!
ただでさえこんなにどきどきしてるのに、好きだなんて言ったら僕の心臓どうなることか。



好き好き大好き。
心の中だったら、どんな風にでも何度だって言える。
なんで、なんであなたと面と向かってじゃ言えないのーっ!?



「恭弥ほこり立つからやめろってっ」



僕はこの煩わしい気持ちに悶えながら、ベッドの上で足をばたつかせていた。



臆病な自分がむかつく。
いつもは強がってるくせに、こんなときだけっ。



「恭弥、どうかしたのか?」



こうなったら…!



「あなたのことが…っ」



「ん、俺のことが?」



「あなたが…っ、」



「………」



よし…っ!



「あなたのことがっ、すっす好「俺も好きーっ」



「……え」



僕の精一杯の「好き」は彼の「好き」に一瞬でもみ消されてしまった。
こんなに頑張ったのに…!
絶対に咬みこ、ろ…?



ぎゅっ。



「ディーノ…?」



不意に抱きしめられて、身動きが取れなくなる。
耳に彼の吐息が触れるようにかかってくすぐったい。



「わかってるぜ?恭弥が俺を好きなことっ」



聞き捨てならないな。



「何で?」



「まず俺のこと嫌いだったら、恭弥俺と付き合って無いだろ?」



それはそうか…。
でも例え嫌いでも付き合うくらいできると思うけど…。



「それに、最近恭弥が寝言で「ディーノ大好きー」って煩いからっ」



「な、何それ…知らない…!」



自覚無しにそんなこと言ってるなんてびっくりだ。



「俺、その度に恭弥にちゅーって…」



「ど変態…!」



段々顔が熱く火照っていくのがわかる。
すぐ真っ赤になっちゃうのが僕の悪い癖だ。



「でも聞きたい、恭弥の「好き」」



さっき言おうとしたの邪魔したの誰だったけな…?
まあ、いっか。



「絶対に1回しか言わないよ」



「おう、」



……………







「好きっ!」








end

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