ディノヒバ
□存在証明
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朝起きて、いつもなら横で寝息をたてて眠ってる彼が居ないことに気付く。
朝早くから仕事なのかな?
あんなにへなちょこの彼が、仕事もちゃんとこなして部下にも信頼されてるんだとか考えると何故か僕が嬉しくなる。
何せ、僕のものだからね。
それに、僕にとっての特別な存在でもあるから。
「ん…?」
何かにつまずき、足元に目をやると明らかに落としていったとしか思えないような場所に財布が転がっていた。
一応知らせてあげようと携帯を手にすると、偶然にも誰かから電話がかかってきたところみたいで、そっちを優先する。
「もしもし…」
「恭弥…!俺だけど、まだ家に居たら財布落ちてねーか見てくれねーか?」
あなたか…。
「あったけど、確か拾い主は1割だよね」
「なっ、お金取るのかよ…!」
昔はただ1人でいるってことが当たり前で、誰かと一緒に居ることなんて考えたりもしなかった。
なのに今は…
素直に1人が寂しいと、そう思えて自分でもびっくりさせられる。
本当に
「へなちょこっ」
びっくりだよ。
end