ディノヒバ

□一緒に消えてしまえばいい
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一緒に笑い合った日々



一緒に過ごした時間



たくさんキスをして



ただそばに居るだけで笑い合えた。





『恭弥愛してる、これからもずっとな』



あの言葉は嘘だったの?



なんで守れない約束なんかするんだろう。



いつも横にあるあたたかい笑顔は



何も言わず僕から離れて



虚空に消えた。







恋とは煩わしいもので、儚い。



僕がわがままだから?



僕が女じゃないから?



あなたが戻って来てくれるなら
僕は何だってしてあげるのに。



今までよりいっぱい愛してあげるのに。



それさえ伝えることができなくて、もどかしい。





「でぃ、の…ディーノ…」




『呼んだか、恭弥』



あなたの名前を呼べば、
そんな声が聞こえるような気がしてしょうがない。



いつもみたいに優しく頭を撫でてくれて
優しく包んでくれたらどれほど嬉しいだろう。



ジャキ…



震える手で、無造作に髪を切る。



バサっ…と床に散らばる髪の毛と共に、僕の涙が零れ落ちた。



熱い雫が頬を伝っていくのを感じながら、ひたすらはさみを動かす。



これで、この苦しい思いと弱い自分も髪と一緒に落ちてくれるならどれほど楽か…



あなたを嫌いになるくらいなら僕はずっと1人で生きてくから




楽しい思い出だけ残して






あとはみんな一緒に消えてしまえばいい。









end

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