ディノヒバU

□偶然の出会いと必然の運命
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紙に書かれていたホテルの部屋番号と、目の前にあるドアの番号。
間違ってないか何度も確認する。
いや、間違ってないことくらい見ればすぐわかるんだけど……。



緊張しすぎて声が出なくて。
恥ずかしすぎて体が動かなくて。
メモとドアとを交互ににらめっこしながら、ドクドクと響く心臓を落ち着かせようとしていた。



渡したら、すぐに帰ろう。
雨で濡れた服も乾かさなきゃいけないし……体も濡れっぱなしだから気持ち悪くて、少し肌寒い。



「はぁ……」



何度も深呼吸して……。
やっとの思いでドアをノック。
軽くノックしたつもりが、コンコンっと結構音が響いてしまった。



──沈黙。



もしかしていない?
出かけてるのかな……?
もしそうなら、この無駄な時間と労力を返してほしい。



体力的にと言うよりも精神的に、それはもう酷く疲れた。
きっと寿命も縮まっただろな。



まあ……彼が出てきてたらもっと寿命無くなってただろうけど。





「あれ?きょう……や?」



「……っっ!」



まさかと思い声が聞こえた方に目をやると、僕の方に急いで向かってくるあの人の姿があった。



「びしょびしょじゃねーか……!な、何かあったのかっ?」



「あ、えっと……」



あなたに会いに……?

違う違う!さ、財布だっ!



混乱した頭は、もう半分以上が使いものにならないでいる。



「とりあえず部屋ん中入れよっ。風邪ひいちまうからな?」



「な……っ」



腕をぐいっと引かれ、僕は部屋の中へと入ってしまった。



   
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