ディノヒバU

□このままでいいと伝えたい
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風紀の日誌を見て気付いた。
今日は2月1日。
やっと2月か、もう2月か。
僕にとってそれは後者の方だ。



あっと言う間すぎる。



つい最近までクリスマスでお正月で…2月なんてまだまだ先のことだと思っていた。



2月と聞いて人はまず何を思い浮かべるんだろう。
節分か、バレンタインデーか、僕と同じ学年の人たちは高校入試とか、なのかな。



けど僕の頭に思い浮かんだのはあの人の、僕の恋人の、ディーノの誕生日だった。



どうしよう。



さっきからそれしか出てこない。
悩んでいるのは、誕生日プレゼントのことだった。
普段彼の欲しいものなんて聞いたことなんてないし、彼がそんなこと話したこともない。
分からないことが悔しかった。



《そういえば、あなたもう少しで誕生日だよね、何か欲しいものとか無いの?》



ほんとはサプライズとかしてあげたかったんだけど仕方ない。
毎晩彼からくるメールの返事に、僕はそう送った。



こんなときに、そういえば、って言葉は便利だと思う。
まるで僕が今ふと思い出したみたいに聞こえるから。
僕が1日中ずっと彼のことで悩んでるだなんて、恥ずかしすぎる。
絶対に気付かれたくない。


待つこと数分。返ってきた彼からのメールを見る。



《恭弥も一応受験生だろ?この時期は色々大変だろうし…プレゼントとかいいから!誕生日に恭弥一目見れるだけで十分だっ》



……ばか。



僕がどれだけ悩んだと思って…。



いや、ばかなのは僕の方?
悩んでるって気付かれたくないとか変な見栄張って考えてた僕と、今の僕が矛盾してる。



本当に、ただのばかじゃないか。
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