ディノヒバU

□Sweet trap
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情事のとき、いつも目を瞑って耐えるように歯を喰い縛る恭弥。
そんな苦しそうな姿を見たくないってのもあるが、もっと恭弥の可愛い声を聞かせて欲しかった。



声を抑えながら恥ずかしがる恭弥も可愛いんだけど。
本当は、俺に心を許して、ありのまま快楽に溺れてほしい。





「…媚薬我慢大会…?」



そこで思い付いたのが…皮肉ながらもコレだった。
話を切り出した途端に馬鹿馬鹿しいとそっぽを向いてしまった恭弥に土下座する勢いで懇願する。



「そう!俺と恭弥でっ」



「いっ…嫌に決まってるでしょ!」



「忍耐強くなることも、修行の上で十分必要なことなんだぜ!」



「勉強中に邪魔してきたり、夜中に電話してきたり、あなたと居ると忍耐力も自然と身に付いたよ」



「それはっ………ごめん…」



こんなことで挫けてはいけない!
恭弥のことなら何でも知り尽くしてる俺には、恭弥を罠に陥れる作戦があった。



「これにお前が勝ったら、なんでもひとつ願い事叶えてやる!」



まずはとりあえず、価値ある条件を提示して興味を惹かせる。



「まあ、恭弥が俺に勝つことなんか無いだろうな!恭弥めちゃくちゃ弱っちいもん」



そして…人5倍くらいプライドの高い恭弥に、そのプライドを試すように囁いてやるんだ。



「くすっ…何寝惚けたこと言ってるの?受けて立つよ、その勝負」



やっぱり…俺の作戦は完璧だったみたいで。その作戦に見事引っ掛かってくれた恭弥は、まんまと俺の罠に嵌まっていく。



「ところで、その変態染みた我慢大会って、一体何をするの?」



「んー…っと」



それぞれ互いに媚薬を服用して、どっちがその作用に耐えられるかってのがこの我慢大会の概要。



一頻り説明し終わり、俺はベッドサイドの引き出しからビンをふたつ取り出し、片方を恭弥へと手渡した。



「何で、こんなところからこんなものが簡単に出てくるのかはわからないけど…とりあえずこれを飲めばいいんだよね」



「おうっ、これを飲んで先に相手を求めた方が負けってルールな」



「……うん」



「じゃあ始めるぜ?」



俺が出したスタートの合図と同時に、恭弥はその液に口を付けた。
その様子を確認し、俺も同じように媚薬を飲み下す。



平等に、且つ確からしく始まったように見えるこの勝負だが、予め仕掛けておいた裏の罠があった。
恭弥にはバレてないみたいで、ほっと安堵の笑みを溢す。



実は俺の飲んだ媚薬と恭弥の飲んだ媚薬は、容器と見た目こそ同じように見えるが、中身が少し違ったんだ。
実を言うと、俺の方には媚薬の効果を埋めるように、半分ほどただの水が混じっていたりする。
恭弥のことを思うと少し後ろめたいんだが…。



「5、6分もすれば効果が出てくるらしいぜ」



「……わかったよ」



そのまま、効果を待つように俯いて黙ってしまった恭弥。
強がってるように見える恭弥だが、緊張からか恐怖からか、体をぶるぶると震わせていた。
いたいけな少年に可哀想なことをしてしまった、と罪悪感に戒められるが、そんなこともお構い無しに、時間は刻々と過ぎていく。



その重い沈黙を破ったのは、やはり効果に耐えきれなくなった恭弥だった。



「…っ…くっ」



段々と乱れていく呼吸。
息を荒くさせながら、恭弥はベッドにもたれ掛かり、無造作にシーツを掴んだ。



「恭弥…効いてきたのか?」



「…多分、んっ…ディーノも…?」



「俺はまだ…」



「な、んで…っ」



淫らに顔を火照らせていく恭弥。その朱色の頬を伝う汗さえも厭らしく見えて。



「ぅ…っ、やだぁ…っ」



ただ俺を興奮させる。
恭弥の、淫靡な姿が…。



「やべ…っ」



俺の意志とは裏腹に形を変えながら熱を持っていく自身に、ズボンの中心は膨れて、ぎゅうぎゅうに其れを締め付けた。
そして、恭弥が欲しくなる。
今すぐにでも、恭弥に触れたい。
本能的な欲望が頭の中で乱射して、もう…爆発してしまいそうだ。



「……っ」



「…でぃー…の?」



俺の異変に気付いた恭弥は、涙で潤んだ漆黒の瞳で見つめてくる。
そんな瞳で見つめられて、色っぽい声で名前を呼ばれて。
この溢れ出る性欲を、我慢できるってやつがどこにいるだろうか。



気が付けば、俺は恭弥の上にのし掛かっていて。



「俺…もう無理だ…っ」



「でぃ…の…」



「恭弥が…っ、欲し、い」



貪るように…狂うように…俺は恭弥を求めていた。
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