小さな恋物語
□よっつ
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心の中のもやもやした気持ちが一体何なのか、考えても考えてもわからない。
こんなにあの人のことを思って、思いながら悩んで、
ドキドキして。
まるで恋みたいだと。
心の奥から聞こえる囁きに僕は知らぬふりをする。
そんな自分に小さく息を溢した。
ここで待ってれば、もしかしたら今日もまた会えるかもしれない、と考えはじめる自分自身に嫌気がさす。
これだとこの仔猫の世話を口実に利用してるみたいで最悪だ。
ごめんね、と呟きながら膝に乗っている猫の頭を優しく撫でる。
「くすっ、…ぶはは…っ」
急に聞こえる笑い声に大きく反応してしまい、思わず後ろに仰け反ってしまった。
「ははっ、お前1人で猫に話しかけてんのか…?」
いきなり現れた目にも鮮やかな金色に胸の鼓動が高まる。
「な、何で来たの…?」
「ここに来たらまたお前に会えるかもって思ってさ」
「……僕に?」
予想もしてなかった答えに頭が混乱して、動揺してしまった。
「そっ、そんな真っ赤になるなってーっ」
「……真っ赤…っ?」
慌てる彼をよそに、自分の頬にそっと手のひらで触れる。
言われたとおり触れた頬はいつもより熱を持っていて、自分でも想像できるくらいに真っ赤だ。
「これはっ、暑いから…!」
「暑いって…今日涼し…」
「いいから…っ!もう僕この子の飼い主探しに行くから…」
照れてしまったことから逃れようとしたものの更に恥ずかしい目にあい、苦しい言い訳をしてしまったことを今になって後悔する。
とにかく彼から立ち去ろうと、いい理由を見つけたのに。
「俺も行く…っ!」
意味ないじゃないか…。