小さな恋物語
□ひとつ
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「…ふーん…それも初耳」
「次は恭弥の番なっ」
春とも初夏とも言いがたいぽかぽかとした穏やかな日照りの中で、
こつんっと頭をくっつけながら僕たちは屋上に寝そべる。
修行だとか何とか…むちゃくちゃに痛め付け合った相手とこの場所で意味もなく他愛も無い話ができるのも、僕たち特別な恋人の一興なんだろう。
「僕の何が知りたいの?」
「んー恭弥の好きな人は俺だろ?
初きすも俺だろ?
初えっちも俺だろ?」
ひとつ、ふたつと指を折り曲げて数える彼。
「はぁ…なんか全部本当なのが悔しいけど」
「え…っと、じゃあ…初恋は?」
「………」
「恭弥?」
「あのね、」
それは
小さく儚い僕の初恋。