コードギアス

□その日には1日遅れの、
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「今日の夜の予報は晴れです!と、いうわけで天の川観測会しましょー!」

「……はい?」

ことはやはり、ミレイ会長の一言から始まった。


しかしまあ、特にエリア11─日本─において梅雨時期真っ只中にある七夕に天の川が見れるなんてチャンスはなかなかない。

それを言ったのはスザクだが、

「七夕って何?」

シャーリーの一言で要説明となった。



「ええっと……」

スザクが何と言えばいいか悩んでいると、細い腕がにゅっと延びてきてスザクの肩をひっつかみ、後ろに下がらせた。

代わりに前に出てきた、先程の細い腕の持ち主、ミレイ会長が説明する。

「説明しよう!」

そもそも“たなばた”というのは、女子の針仕事上達祈願の神事やお盆行事の一つを指す言葉で、後者が7日の夜に行われる行事だったことから“七夕”と書かれるようになった。
元来中国から日本に奈良時代に伝わり、今の形は中国渡来のものと日本固有のものが混ざった結果らしい。

そしてこの日は天界の人である織姫と彦星が一年にたった一度会える日であり、この日は二人を隔てる天の川には橋が架けられ、二人は愛の再会を果たす。
この日、願い事を短冊に書いて笹に吊しておくと、織姫と彦星が叶えてくれる。

──ということを一気にまくしたて、

「って話なの!よね?スザク君」

スザクに確認を求めるミレイ。


「え?ああはい、だいたい……」

普通の日本人が知らないようなことまで知っていることに、スザクは正直驚いていた。と、いうか始めの方の話はスザク自身初めて聞いた。

さてと言ってミレイはスザクの手をひっつかみ、どこかへ連れて行こうとした。

「と、いうわけで笹と短冊ー!」





スザクのアドバイスと会長の指示の元、どうにかして笹と短冊を手に入れ、後は暗くなりきるのを待つだけとなった。




「お、ぽくなってきなぁ」
「天の川すごーい」
「……」


屋上にみんな集まって、思い思いのに空を見上げる。


「兄さん。なんで星があんなに集まってるの?」
「天の川はこの地球が属する銀河を内側から見たものだから……」
「ハイハイ二人とも。今日はそうじゃくて川として見なさい。ルルーシュ、織姫と彦星ってどれー?」
「ベガとアルタイルでしたっけ?ええと……」


「スザクー。短冊ってどっちに書けばいいんだ?」
「別にどっちでもいいんだけど、飾り付けの一種でもあるから、白の方がいいかな?」


みんなが短冊を手に取り、願いを書き始める。

その中、なかなか書き出せない少女が一人。

「んー、願いー、願い……」

シャーリーだった。
もうとうに書き終えたスザクがそれを見つけた。

「悩んでるの?」

短冊を覗き込んで、スザクは聞いた。

声をかけられるまでスザクの接近に気づかなかったシャーリーは飛び上がった。

「うわっ?!スザク君?!」

覗き込んだ短冊はやはりまだ真っ白で、ペンは蓋すら外していなかった。

この少女の願いはだいたい知っている。本当に一途で、本当に想っているのだ。

「ルルーシュのこと、書いちゃえばいいのに」

からりと笑って提案したスザクだったが、その提案はすぐに却下された。しかも思いっきり。

「ふぇっ?!そんなことできるわけないじゃん!ルルもいるのに」

必死で横に首をふる。

そしてシャーリーは自分が自然と大きな声を出していることに気付いていない。だから、

「シャーリー、呼んだか?」

ルルーシュには当然聞こえていたわけで、シャーリーは

「ルル?!い、いやなんでもないのっ!」

必死で話を流そうとした。




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