Quatre

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03/26(Fri) 16:25
銀色

立ち上がり、帽子を取りながら、エリンが言った。
「ね。だから言ったんです。私の本気は何があるかわからないって」
エリンは肩に刺さった刀を雑に抜き、地面に刺した。血が大量に流れて地面に滴り落ちる。

「…完璧に負けたよ…」
「イアル、大丈夫か?」
イアルの首には、手跡が付いている。
起き上がりながら、イアルは、肩に何もしないエリンを見つめた。
「…獣の目だった…」
「は?…エリンちゃんが?」
「ああ。捕らえる事だけに集中する…鷹のような、虎のような、獣の目。殺す事にしか目がいっていないぐらい」
「…俺じゃなくて良かったわ」
「…普通なら、肩の刀を抜く。だが、エリンは抜かずに俺の首に手をやった。あれは、普通の侍とは違う…」

03/26(Fri) 16:32
銀色

「…とにかく、早く手当てするか」
「良い。自分でやる」
「…分かったよ」
カイルはエリンの元に行った。
「…エリンちゃん」
「はい?」
こんな子が獣の目…考えられなかった。
「…あ、手当てしないの?」
「へ?ああ、これですか?自分で出来ますよ」
そう言って、イアルの所へ行った。
「大丈夫ですか?」
「お前が大丈夫か?」
涼しい顔をしながら、肩からは血がかなり出ている。
「大丈夫ですよ。このくらい、もうちょっと放っておいても」
「だがなぁ…」
「…わかりました。治療道具はどこですか?こっちの部屋ですか?」
エリンはイアルを引っ張りながら、部屋に入っていった。
「…」
隊員達は、声も無く見つめていた。

03/26(Fri) 16:56
銀色

「…で?」
「はい?」
治療をしながら二人は話していた。
「お前は何者なんだ?さっき言っただろう。この後言うと」
「…そうですね…しいて言うなら、あなたの敵です」
「は?」
「私は、あなたの敵と言ったんです」
「何故?」
「あなた達が追っている者…例えば、シュナンは何ですか?」
「…まさか…」
「…私は元々攘夷志士です」
イアルは驚いた。
「攘夷戦争って、知っていますか?」
「ああ。だが、俺が子供の時の話だぞ」
「…実は、私、18って言ってますが、本当はもう少し上です。」
エリンはこっそり教えた。
「!?俺より上!?」
「…私は、15の時に攘夷戦争に参加しました。その頃、夜叉と言われる程強かったらしいです」
「…それで、シュナンと知り合いだったのか…お前がただの侍では無い理由が良くわかった」

03/26(Fri) 17:16
銀色

「…お前は、何故攘夷戦争に参加したんだ?」
「…私には、ある人が居ました。己の師であり、母の様な。けれど、ある日亡くなりました。火事が起きたんです。師から教えてもらった教えを守り、侍の道をいきました。結果があの攘夷戦争です。まあ、負けてしまいましたが…」
「…」
「シュナンは私に、「幕府を恨んでないのか?」と聞きました。仲間を沢山失いましたからね…でも、私一人で出来るなら既にそうしているでしょう。だから、恨んでも仕方がない事なんですよ」
「…」
「さて、昔話は終わりです。では、帰ります」
イアルが立ち上がろうとするエリンの衣の裾を引っ張った。
「…待て」
「?」
「まだ、俺の事も言っていない」
「…」
エリンは座った。
「…お前、親は?」
「…さあ?知りません。何も覚えていませんし」
「…親も仲間も失って、寂しくないのか?」
「……そんなの、当の昔に忘れました」
「…俺からはそれだけだ。残りはまだ言えない。帰って良いぞ」
「…いえ、もう少し居ます」
「…そうか」

03/26(Fri) 17:23
銀色

「…」
二人きり…
「…///」
エリンは赤くなっていた。
それは、嘗て、男として暮らしてきたエリンには、無かった感情だった。シュナン達と暮らそうが、何とも思わなかった感情。
「……///」


「…」
二人だけ…
「…///」
エリンと同じように、イアルも赤くなっていた。今までに持たなかった感情。持った事の無い感情。初めて、今見つけた感情。

「あの」「あのさ」
「…いえ、イアルさんから///」
「いや、エリンから///」
「……///」
「……//」
何も言えなかった。

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