Get Backers
□正しい病気の治し方。
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それは熱い思考の中で感じた確かな意思。
そう。
まやかしではない。
それは熱に溶かされることなく、明瞭に存在していた。
遺伝子に刻み込まれていたように。
消え失せることはなくて――
頭が重い。
全身がダルい。
身体中に熱が溜まっている感じなのに、酷い悪寒がする。
「お前医者だろ…どーにかしてくれよ…」
誰かに殴られているように頭が痛くてかなわない。
「医者ですが…。私はアナタの治癒力を信じるしかありませんねぇ」
「薬とかあんだろ…??」
「それは一時的にしか意味がない。そもそも発熱はウィルスを殺す為に起こる作用ですから、解熱剤など使うべきではないんですよ」
「…知るか…」
熱を覚ます必要がないならどうして薬なんかあるんだよ…??
ベッドの縁に立て膝になってオレを見下ろす黒衣の男を虚ろな目で見つめてやる。
そうすると男は微笑んで、オレの前髪をかきあげた。
「苦しいですか…??」
肯定を表すようにゆっくり瞬きをする。
―しょうがないですねぇ…
深くため息を吐いて、でも微笑は消えないまま男は立ち上がった。