【 Story2 】

□倉庫
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「乗れ!!」

派手なスキール音と共に停止した車の運転席からカーレスがそう叫ぶと、緋珠は直ぐに助手席に乗り込む。

ドアが閉まるのを待たずにカーレスは車を発進させる。

「いつの間にこんな車用意させたんですか?」
今回の作戦で用意した車には見かけなかった改造スポーツカーに、緋珠は疑問を投げかけた。

「借りた。」
悪びれもなくそう答えるカーレスだが、実際のところは奪ってきたのには間違いなかった。

逃走した一台は既にフリーウェイに乗り込んだ事を聞いていたカーレスは、迷わず近くの入り口からフリーウェイに乗り込む。

「ちょ、ちょっと、ブレーキ!!」

フリーウェイに乗るにはこの先の交差点を左折しなくてはならない。
そろそろ減速しなければ曲がりきれないのだが、カーレスは緋珠の警告に耳を貸さず、スピードを緩めることなくアクセルを踏み続けている。

緋珠は手すりに掴み身構えた。

ようやくブレーキをかけたかと思えば、タイヤは派手なスキール音を立てる。
明らかなオーバースピードからの急ブレーキによって車は自然と横に向き始める。
そしてその状態を保ったまま、フロントバンパーは中央分離帯すれすれで横滑りしていく。
それからカーレスは見事に車の体勢を立て直すと、再び加速させる。

この時、緋珠は他のメンバーがカーレスには運転任せられない。と言っていた理由に納得がいった。
こんな無茶苦茶な運転では命が幾つあっても足りない。

そのままフリーウェイ入り口から本線に合流。
走行している車の間を猛スピードですり抜けていく。

「あれだな。」

前方を同じように走行している車の間をすり抜けるようにして走る一台の車を発見する。
相手もかなりの速度が出ているにも関わらず、その車間は徐々に詰まっていった。

「あれを抜くぞ。その時、奴等のタイヤを打ちぬけ。」

そう言ってカーレスは助手席の窓を全開にする。
さすがは空力を考えて設計された車だけある。
風切り音の割には室内に入ってくる走行風は少ない。

「俺が合図を出したら撃て。」
そう言ってカーレスは車を追い抜きにかかる。

相手はこちらを只の暴走行為を楽しむ連中と思ったのかそのままやり過ごすらしい。

「今だ!」

フロントタイヤは真横にある。緋珠はそのまま打ち抜いた。
タイヤがパンクしバランスを失った車は蛇行しつつ壁にぶつかりながら止まった。

その様子を見届けたカーレスは他のメンバーに連絡をする。

「奴等の車は大破した。後は現地の奴等に任せる。撤収だ。」
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