【 Story2 】
□SCENE3
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緋珠のAランク昇級後の初任務は、このミッテルガルドのクーデター加担だった。
今は、内通者の存在を知らされ、極秘で内通者の特定を行っていた。
その最中。
廊下でミッテルガルド兵と楽しそうに話している、長い銀髪の少年を見かけた。
人違いだと思いたかったが、長い銀髪の人間などそうそういるものではない。
特に、ここミッテルガルドは民族的に黒髪。
そして目が合うと、少年は笑顔を見せながらこちらにやって来た。
「久し振り〜。仕事順調そうだね〜。」
何とも場にふさわしくない口調に緋珠は軽く溜息をつく。
「何で俺がここにいる。って言いたそうな顔だな。増援で他の奴等は別のところに行ってて、
俺はここの担当になったから、よろしく。」
「増援?聞いてませんよ。」
「うん。多分今頃、ギル班長に連絡届いてる。俺はちょっと早く着いただけ。」
「そうですか。」
「でさ、仕事ついでにここの内部、案内してくれない?」
そうして緋珠はカーレスに建物内部を案内した。
最後に案内した部屋は、現在、ルフトハンザ将軍がいる所。
「この先を右に曲がった所の突き当りがルフトハンザ将軍のいる部屋です。」
廊下の突き当りを右に曲がった時、見張りの兵が倒れているのが目に入ると、二人は周囲に人の気配がないか探る。
人の気配がしないのを確認すると、二人は互いに視線を合わせ、頷いてから倒れている兵に近づいた。
既に息はしていない。
再び互いに目を合わせると、目の前の扉の中の様子を伺おうと立ち上がる。
「そこにいるのは分かってるんだぜ。その扉は『強化人間』じゃないと破れない。鍵を。」
中から聞こえた男の声を遮ったのは、扉が派手に部屋の中に向かって蹴り破られる音。
「『強化人間』がどうしたって。これぐらい誰でも破れるぜ。」
男の警告を無視して扉を蹴り破り中への侵入を果たしたカーレスは、不適な笑みを浮かべると、男に向かってそう言った。