【 Story2 】

□SCENE3
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ミッテルガルド自治区クロイツェン自治管理局の一室を、クーデターに加担したプレゼクトの工作員達が集まっていた。
プレゼクトで自由に使える部屋があるのも今回の契約条件の一つ。

「ギル班長。統括作戦班より通信が入っております。」
一人が小型のノートパソコンのモニターを見つめながら、事実を伝える。

「こっちに回してくれ。」
同じくパソコンのモニターを見つめていたギルと呼ばれた男がそう答える。

「了解。」

彼が今回の作戦の現場責任者を担っている者で、プレゼクトに来る前も各国で傭兵をやっていただけあり、現場での判断力には定評があった。

転送された通信内容は内通者の存在を知らせるものだった。

  帝国軍の通信傍受により、内通者の存在が発覚。
  直ちに内通者の特定とミッテルガルド軍将軍の身の安全を確保すること。
  尚、通信内容と回数から内通者は複数いるので、十分注意せよ。

「作戦を練り直す。全員をここに集めろ。」
内容を読み終えると直ぐに、ギルは近くに居た部下にそう命じる。

一分もかからず全員が集まると詳細を説明し、今後の配置を命じる。
それは全員が集まるまでのほんの僅かな時間で彼が考えた采配。
文句無い適材適所に全員が彼に従った。



ギル自身は、現在、自治管理局内部に居る旧ミッテルガルド軍の将軍の元を訪ねた。

「ルフトハンザ将軍。この建物内に内通者がおります。それも複数。
現在、総出でその者の特定にあたっております。
ですが、万が一の事を考え、私が貴方の護衛を致しますので、
この場に留まる事を許可頂きたいのですが?」

「そういう事ならそちらの都合で自由に動いて構わない。そういう契約だからな。」

「では、失礼致します。」
そう答えるとギルは部屋に怪しいところがないかを調べ始める。
部屋に到着するなり、盗聴器の探索は済ませたが、隠し扉が無いか、天井板が外れやすくなっていないか、侵入可能な経路が無いかを調べるが、特に怪しいところは見つからなかった。

もっともこの部屋に将軍が留まる事になった時には、部屋の内外から徹底的に調べたため、今さら怪しいところがあっては困る。
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