【 Story2 】

□SCENE2
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今頃、誰だ?と思いながら通信機の小さな画面を開く。
見覚えの無いアドレス。
だが、タイトルは『昇級おめでとう。』となっていたので本文を開く。

  カーレスだ。覚えてるか?
  また、飲み比べしてないだろうな?
  昇級祝いを用意してある。
  俺はお前の正面、壁際に立っている。

最後の一文に、緋珠は通信機の画面を閉じるよりも先に正面に目を凝らす。
壁までは若干距離はあるが、人影から時折見える銀髪。
確かにメールに指示された場所にカーレスは立っていた。

「そっちまで行けってことか。」
緋珠はカーレスの姿を確認すると通信機の画面を閉じてからカーレスの元へと歩み寄った。


「久し振り。元気だったか?」
先に声をかけたのはカーレス。

「お久し振りです。制服もよくお似合いですよ。」

緋珠が言う通り、カーレスは司令部の白い礼服に身を包んでいた。
それに合わせるかのように、以前会った時には下ろしていた長い銀髪も結っている。
こうして身なりを整えていると、少し年齢が高くなった印象を持った。

「そりゃどうも。」
カーレスは感情の篭っていない抑揚の無い口調で返事を返すと言葉を続けた。

「着いて来いよ。昇級祝い用意してあるってメールで伝えたろ?」

「お心遣い、誠にありがとうございます。」
カーレスの有無を言わさぬ言葉に緋珠は従うしかなかった。
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