【 Story2 】
□倉庫
1ページ/2ページ
「ふうーん。奴等もなかなかやるな。俺達の出番、無かったな。」
事の顛末を見届けたカーレスはそう呟いて、煙草に火をつけた。
「けれど、一人逃がしましたよ。」
そう答える緋珠の視線の先には一機の対戦車ヘリ。
「逃げ切れないさ。」
そう言い切った次の瞬間。
ヘリが旋回してこちらに向かって来た。
今、彼等の居る位置は高層ビルの70階の一室。
機銃で狙われては逃げ場が無い。
逃げ惑う人々を尻目に彼等は落ち着いていた。
「あのヘリ。弾は全て抜かれているのを知らないんでしょうね。」
「無駄な悪あがきだな。」
彼等の予想通りヘリは窓辺でホバリング状態に入る。
そして予想通り、来るはずの機銃による攻撃はない。
ここでヘリは旋回して逃げるはず。
しかし窮地に陥った男は意外な行動に出た。
ヘリごとビルに突っ込んで来た。
「耳を塞いで伏せろ!」
僅かな動きも見逃さなかったカーレスがすかさずそう叫ぶと、緋珠は反射的にそれに従うと、
ヘリがビルに衝突する直前、耳をつんざく爆音と共にヘリが激しく爆発した。
室内には爆風で吹き飛んだガラスの破片が舞う。
やがて室内に静けさが戻るとカーレスは、
「煙草一本、無駄にした。」
と言い捨て、新しい煙草に火を付けた。