Novel

□恋愛感情?
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あれから二週間がたった。
俺は羽柴とアドレスを交換し、何度か家に上がったりもした。

だが一人でこの道を歩くのは初めてだ。

俺は羽柴に呼び出しをされた。
なんでも家に来てほしいらしい。


「確かこの辺だったな…」

一応、手土産にこの間姉からもらったクッキーの詰め合わせをぶら下げながら歩いていた。
しばらくすると「羽柴」の表札が見えた。
玄関の扉の前に立つと俺はつい、いつもの癖でインターホンを二回連続で押した。

この家のインターホンは電話で家の中から会話ができる仕様になっていたので俺は「藤枝です。」と言った。
羽柴は鍵が開いてるから入ってきて、と言った。
俺は遠慮なく上がらせてもらう。

「羽柴、いるのか?」

相変わらず家の中はきちんと片付けられている。

「秋ちんー、こっちだよー」

隣の部屋から声がする。

きっと今は羽柴しかこの家にいないのだろう。玄関には羽柴のものと思われる靴しかなかった。

「急に呼び出したりしてどうしたんだ?」

部屋にはいると羽柴はテーブルに突っ伏していた。
よく見るとその横には空き缶が二つほど転がっていた。

「うぅ……秋ちん…」

いきなり羽柴に抱きつかれた。

「どうしたんだ?」

穏やかに言うと、少なくともそのつもりだった、俺は軽く頭を撫でてやった。

「部活で女子にぃ…いじめられるの…」

「……お前…酒飲んだのか?」

羽柴から酒の臭いがした。
転がっていた空き缶には酒メーカーのロゴが入っていた。

「うん…」

「まだ高二だろ…」

「うん…」

「甘えたいのか?」

「うん…」

結構酔っているようだ。
と、いきなり床に押し倒された。
俺は特に抵抗しなかった。
羽柴が俺の胸元に顔を埋めているのが分かる。

「おい…羽柴?」



「………」

しばらくすると静かな寝息が聞こえてきた。
酒を飲んでいたせいなのか、羽柴の体温が温かくて気持ちいい。
俺は天井を見つめたまま身動きもとれずにいた。
気分は悪くない。
このままこうしていてもいいかな、そう思った。

これは好き…ってこと、なんだろうか?

俺はそのまま目を閉じた。
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