Novel

□男子寮へ行こうゼ!
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「はぁ?;やだよ俺、女嫌いだし」



「男子寮へ行こうゼ!」




俺は藤枝千秋、高3
俺が今一番困っていること、それは―――――俺の女嫌いだ。


「お前は情けないとは思わないのか?」

今俺は友達二人と教室にいる。

「何が?」

「クリスマスだよクリスマス。高校最後なんだからさぁ、彼女いない歴18年目の俺たちも彼女を作る時期なんだよ!」

「はぁ…;」

何故か俺は、彼女いない同盟なるものに入らされている。
実は俺、告られたことあるけど…言ったら殺されるから言ってはいない。

「てか何度も言ってるけど、俺女無理だから;」

「何故?何故そこまで女を否定する!?彼女とならんで手を繋ぎ歩く!!!それこそが男のロマンだろう!!??」

…泣きながら力説されても……;

「とにかく俺は無理だから;」

「でも……今回は条件付きだぜ?来週の金曜日。終業式の日。その日までに一人でもクリスマスに誘える女を作る!できなかったやつは女装して…そうだな……隣の男子校の寮を一周してきてもらう!もしかしたら彼氏ができたりしてなぁ?」

にやにやしている

「何故お前はそんなに自信たっぷりなんだ?まさか……!!」

「察しがいいな!実は俺、もう付き合えそうな女子がいるんだ♪」

「くっそぅ!!俺だってコンパ行ってやる!!!」




――――そして金曜日

「コンパで彼女見つけた!!!N」

「俺も無事OKもらった!!!♪」

「――で、誰だこの可愛い子は!!!!女嫌いなんじゃなかったのか!!可愛ければいいのか!!!」

彼女ができたら一緒に写真を撮って持ってくるということになっていて、今はそれの見せあいの真っ最中である。

「……ん。そーいや千秋、お前は姉貴が三人いたよな?もしかしてこの女って……………」

「チッ…」

くそ、ばれたか…

「チッ…じゃねーよ!!」

「俺の女嫌いの原因のやつと逃げたいの必死にこらえて写真撮って来たんだから、その努力を認めろよ!!;(泣)」

「……お前のねーちゃん可愛いな」

「今言うのそこかよ」

「まぁとにかくお前は彼女を作れなかった。さ、女装しろ」

「今か、今やれと言うのか」

「当たり前だろ。俺たちは明日から楽しい楽しい冬休みをエンジョイするんだから」

…殺す…ヤ

「…!!ちょっと待て…;;そんなミニスカどっから持ってきたんだ…?;;」

「お前にと思ってわざわざ持ってきてやったんだ。感謝して着ろよヨホ」

「わっ、ちょ待てっ!!!;やめっ!!;うわぁっ!!???;」




数分後―――男子寮前

「着いたぞ千秋ちゃん」

「誰が千秋ちゃんだ」

いよいよ来てしまった。男子寮に;

「お前にはちゃんと周ってきたという証拠に、中庭の噴水で写真をとってきてもらう。いいな?」

「…はいはい……」

「いってらっしゃい!藤枝ちゃん♪」

「……失ね…ヤ」



俺は男子校敷地内にしぶしぶ入り、とぼとぼ歩き始めた。

『はぁ……めんどくさいし。俺に彼女つくれなんて無理な話だよなぁ……』

「お〜い」

「はぇっ!!??;;;;;」

び、びっくりした;;いきなり後ろにいたのはチャラチャラした感じの茶髪の男子生徒だった。

「誰?君」

「隣の高校の…藤枝…ですけど…?;」

とりあえず自己紹介。

「へぇ…可愛いね…したの名前は?♪」

俺…女だと思われてね…?

「千秋……;」

「千秋ちゃん?ね、何でこんなとこにいるの?一人?」

「あ…、いやちょっと友達と遊んでてバツゲームで…」

「そなんだ……ちょっと付き合ってくれない?♪」

「え?」

「いいから、こっちきて♪」

そう言って俺の腕を引っ張る。なにする気だ?
そうして歩いてるうちに中庭に来た。

「♪」

彼は笑っている。笑顔がどことなく子供っぽく可愛い感じだ。

「君の…名前は?」

「あー、俺?俺はねぇ、羽柴陸だよ。皆にはシバっちとかシバちんとかリクとかって呼ばれてる」

「へぇ…」

話しやすい人だな…俺はそう思った

「秋ちん何年?」

秋ちん……って呼ばれた……

「3年だよ」

「秋ちん、先輩だったんだ!俺まだ2年だもん」

なんだろう…この空気;

「あ、それでさ。なんか用事とかあるのかな…」

「それは…」

陸はいきなり黙ってしまった。
こちらを見つめている。

「ん…っ…」

そう思うと陸がいきなり俺にキスしてきた。というよりはただ唇を押し付けてきただけ、という感じだったが。俺が男だってばらした方がいいだろうか。

「……いきなりキスしてごめんね。でもちょっとだけ…ごめん…」

俺の服のなかに手を入れてくる、がその動きはひどくぎこちない。そして陸は手を止めた。

「どうしたんだ…?……襲わないのか…」

彼は俺を抱き締め、うつむいてしまった。

「ごめんな…俺、男で。騙す形になるとは思わなかった」

「…謝らないで…秋ちん……こっちこそ初めて会ったのにね。女の子なのに近くにいても大丈夫だ、って思ったらやっぱり男だったね…」

どういうことだ……?

「…俺、女の子苦手なんだ…だから秋ちんで試しちゃった…秋ちんが男でよかったよ」

「そうなのか。……俺と同じだな」

「え?…秋ちんも女の子苦手なの?」

「あぁ」

「…秋ちん、彼氏になって」

「あ…え?」

いきなり?

「ダメならいいけど……」

悲しそうな顔をする。反則だ、そんな顔。

「…別に、いい」

「ホント?ありがとう!」

陸は抱きつく。まぁ…可愛いかも…

「…一緒に、写真撮る?」

俺は噴水前に立った。




―――数分後

「――……ホントに彼氏できたのかよ!!!???;」

「まぁ……な;」

去年よりは楽しい冬休みになりそう……かな!!;

この写真くらい、大事にとっておいていてやるか…。

(END)

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