べとべとさんさきへおこし
□べとべとさんさきへおこし 番外編
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べとべとさんの灯子と仲良くなった勇太は、塾の帰りなどに彼女に会いに行くことが多くなっていた。
ある日、勇太は学校の給食で出たプリンを灯子に持っていってあげた。
「…なんじゃ?これは?」
灯子は不思議そうに差し出されたプリンを見た。
「プリンだけど…食べたことない?」
「ニンゲンの食べ物は食べたことがない」
…そりゃ、そうか。
「食べてみなよ。甘くて美味しいから」
ペリペリとフタをはがしてあげてから渡した。
灯子はそれを受け取って、少しだけスプーンですくった。
そして、そっと口に運んで、食べてみた。
「!!!!!」
灯子の目が、まんまるになった。
「これは……!」
急いで、もう一口。そして、もう一口。もう一口、もう一口………。
あっという間に容器がカラになった。
「美味しかった?」
勇太が尋ねると、灯子はコクコクと頷いた。
「…ニンゲンはこんなに美味なものを食べておるのか…」
うっとりと、灯子は言った。
大袈裟な…と勇太は思ったけど、口には出さなかった。かわりに、また今度持ってくるよ、と言った。
その時、灯子がすごく嬉しそうな顔で笑ったのを見て、勇太の中に今まで感じたことのない想いが芽生えたのは、また別の話。