短編
□河童のガータロ
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ざばっと川から出ていくと、子どもはびっくりしてこっちを見た。
「…………」
ぎゃーっと叫んで逃げられるかもしれない。
それも覚悟してたけんども、そうはならなかった。
「ぼうず、怪我したのか?……これ、使え」
おらは、河童の軟膏を子どもに差し出した。
子どもは、おらの顔と軟膏を代わる代わるに見て、口を開いた。
「……おまえ、河童か?」
「んだ」
おらが答えると、子どもは笑顔になった。
「……すげー!河童なんて、ホントにいたんだ!ばあちゃんの作り話だと思ってた!」
さっきまで泣いてたのに……ニンゲンの子どもは面白いもんだ。