short novel
□あくま〜ず☆あ、らぶ
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ーー…?
保健室で目が覚める。
あれ?
気…失ってもうてたんや…?
「あ…起きた?」
軽いイントネーションで、そう問い掛けられる。
やっぱり…あんたやったんか…。
私は、その声の主が、誰だか分かっていた…。
「悪かったな〜!ホームランやと思たら…まさかお前に当たるとは…。でも大した事なくて良かったな、まっくろ娘。」
「…誰が、まっくろ娘やねんッッ!!私には、ちゃんと涼子ちゅ〜名前があるわいっ!」
って…
はっ…!?
お、思わず突っ込んでもうた…。
この男…森園 出雲(もりぞの・いずも)と私は、最低・最悪な相性で…。
初めて出会った時もこんな感じやった。
たまたま道を歩いていた私と…
たまたまその横にあった塀を乗り越えてきた出雲。
私は見事に…着地した出雲の下敷きになってもうた。
然も、開口一番…何を言うんかと思ったら…。
『うはぁ〜!?お前の心…まっくろやなぁ〜?』
やって。
って、はぁああああ?!
あんた〜先に、何か言う事あるやろぉおおおっ!?
…と、凄もうとした私に、きつ〜いオマケの一言…。
『俺はな…目が見えへん分、人の心が、よ〜ぅ分かるんや。お前…もうちょっと心、入れ替えた方がええんとちゃうか?』
…。
もう…凄む気もなくなってた。
だって…
別に…間違えた事は言うてへんかったしな。
それからというもの…会う度に、私らは、いっつもこんな感じで…。
最低・最悪な相性って…この世に存在すんねんなぁ〜と、初めて知ったわ。
この出雲…。
目が見えへんけど、明るい性格やから、女子からの人気も高い。
それに、生まれつき携わっている「感覚」とやらが、人より長けているとかで…目が見えなくとも、出雲は普通に物事をこなせていた。
だから、ソフトでも…ホームランなんか打てたりするんやけど…。
「…でも、何や?珍しいやないけ?お前が、ボール如き…よけられへんなんて…?」
出雲は、不思議そうな顔をしながら、私にそんな事を聞いてくる。
「…え?ああ…バスケで、ワザとファールして…先生に叱られとってん…。」
「…は〜。お前…ホンマに……まっくろ娘やなぁ…。」
って…
シバくぞ…。
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