Violet☆Saver

□Violet☆Saver chapterU【7】
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夢を見たーー…。


綺麗な女の人がアタシに向かって微笑みかけている…。


知らない人な筈なのに…。
その人の優しい笑顔を見てると、何故か涙が零れ落ちた…。


…。

あなたは…
誰ですか?



そして私も…
誰なんだろう…?






「…っ…!」



暗い暗い…底に落ちてゆく恐怖で、目が覚める。


見慣れた英彰家の天井に、少しだけホッとした。


だけど同時に、どうしょうもない絶望感に襲われた…。



全て…
分かっていたから…。


あの時…
意識が戻っていたアタシは、全てを聞いてしまった…。


自分が人間ではなくダーク・ファルコンだと言う事…。


羅剛と匹敵する位の力を持ち、決して人間とは共存できぬ事…。


そしてーー…

アタシに殺されたとしても、全てを受け入れ、守ると言ってくれた…紫稀くんの言葉ーー…。



全てが…
アタシの胸に深く突き刺ささってしまった…。



「…。」


アタシは、携帯の電源を切ると、上着を羽織った。



アタシが今、すべき事は、羅剛を倒す事ーー…。





そしてーー…。


…覚悟した。
多分…
ここにはもう二度と…戻っては来れないとーー…。



ごめんね…
紫稀くん…。
ごめんね…
ダリア、律子ママ…。


羅剛の言う通り…
アタシのこの力はきっと脅威になる。


いつか…大好きな人達を本当に傷つけてしまうかも知れない…。


そうなれば…


アタシは当然、生きてはいけない…。




ザーー…
外に出ると、雨が降っていた。
アタシはそんな中、英彰家を飛び出した。


雨が…
冷たくて…
冷たくて…。


泣きたかった…。
でも、泣けない。


羅剛をこの手で倒すまでは…。






「…どこ行くんだよ!!」



「えっ…」



聞こえた声に驚いて振り向く。


そこには…
雨の中、怪訝な顔をして立っている…紫稀くんの姿…。


あ…。

初めて会ったトキも…
そんなカオ…してたね…。



「……行ってくる…羅剛の所へ…。」



「…な…に…言っ…」


「…アタシには知る権利がある!どうして…ダーク・ファルコンなのか…。どうして…人間として、生きなきゃいけなかったのか…!」



紫稀くんを…ちゃんと見れなかった…。

雨のせいにしてーー…。




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