Soul Eyes

□愛はそこにある。
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愛。



それは、どこにでもあるようで、どこにでもない。





ーー…闇を支配する。


ただ、非道の。

ただ、悪の。



それしか求めない。



それが。
生きる道だった。




だが、お前はそんな俺に…


もっと大切なものがあると…


そう言った。





必要ない、と。



そう罵った俺に…




お前は、たった一言だけ…



“信じてる”と…


そう、笑った。






どうして。


痛いのか?


どうして。



苦しいのかーー…。





お前のせいで。



“ここ”に居る事が居心地いいと思ってしまった。



お前がいるから。


穏やかな感情が芽生えてしまった。






俺は。

このままじゃ、強くなれないーー…。


だから…


もう一度、鬼となろう。


殺戮を繰り返し…
こんな気持ちを捨て去ろう。






もう二度と戻らないつもりだったある日…





「…どこ行くの?ベジータ。」




「……。」



出て行こうとした俺に、珍しく声を掛けてきたお前…。




知ってか知らずか…


いつもより、悲しい声色。







俺は。


いつの間に、お前の事が分かるようになっていたのか。





「ねぇ、ベジータ…ここに触れて?」



「ーー…!!!」



突如。
ブルマが俺の手を、自分の心臓部へと押し当てた。





「……私を打てる?」




「ーー…!?」



この俺が。
動けない。

この女の…そんな、たった一言でーー…。




「…ねぇ、分かる?私の心臓の音…。
こんなにも早く…脈打ってる。人間の心臓ってね、死ぬまで一生動いているの。寝ている時も…辛い時も…嬉しい時も…。それが…人間の力なんだよーー…。」





ーー…!!?






だから。


行かないで。


殺戮を繰り返さないで。



そう、
言われた気がした。







ーー…ブルマ。




お前は、いつも…
全身で俺に語りかける。


大切な言葉を…この濁った心に刻み込む。






それでも、俺は。



この先も、もがき続けるーー…。







ぐっ…と。
ブルマの手を掴み、抱き寄せた。




「ーー…えっ?」




「側に居ろ。」




「……。ベジー…タ。」





…今は。


ただ、こうしたかった…。







これを愛と呼ぶならば。



俺の心にも、あったのかも知れないーー…。














★END★

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