short novel

□シグナルは、青。
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今日も目の前の信号は赤…。

真織(まおり)は、はぁ…。と…
一つ大きなため息を零した。

毎朝、この交差点を通るが、
信号が青で、直ぐに渡れた事は一度だってない…。


まるで自分の人生のようだと…
真織はいつもそう思っていた。

恋だって仕事だって、真織はいつも…前に進む事は出来ない。

常に消極的で、容姿もそこそこの彼女は、回りからも、あまり気にされる存在ではなかった。


「だから…こんな自分が好きになっても、結局無駄なんだろうな…。」


ポツリと…
出てきた独り言…。


俯いた真織の影には…
苦い思い出があったーー…。



丁度、今から一年前…。
図書館で偶然会った人に真織は、恋をした。

名前すら知らなかったけど…
その感じの良さに、真織は一目ぼれしてしまった。


たまたま…。

その時、読みたかった本が一緒で…。


たまたま…。

来館した時間が一緒で…。

その本を取ろうした真織と男性は、偶然、かち合った。


「「…あ。」」


見つめあう…瞳と瞳ーー…。


「どうぞ。」


そう優しく言って、本を譲ってくれた男性が…真織の心を一瞬にして支配した。



そして奇しくもその日は…
忘れもしない7月7日の…七夕だった…。





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