Mix Heart
□捧ぐ愛
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「…説明しろ、トランクス。」
また厄介な事になったと…俺は思った。
「きょ、今日……」
「ねぇ!!!誰?これ誰?!」
「……。」
小さくなったブルマが、俺を指差しながらトランクスとの間に入ってくる。
「…ん?まさか…記憶がないのか?」
唖然としながら、俺は、トランクスに尋ねた。
「う、うん…。どうやら脳まで…5歳児に戻ってるみたいなんだ…」
そう言うと、トランクスはブルマに目をやった。
「ねぇ!トラ!これ誰?」
「ん〜?この人はねぇ〜!え〜と〜。
ブルマちゃんの大切な…ベジータさん!」
トランクスは優しくブルマの頭を撫でながらそう言った。
「ベジタ?」
ブルマがキョトンと俺を見つめる。
「“ベジータ”だ!!!」
子供相手に…いや、ブルマなのだろうが…強く言い返してしまった自分が何となく情けない。
「ベジタ♪ベジタ♪」
ブルマは、そんな俺に物怖じする事なく…キャッキャッと嬉しそうに騒いでいやがる。
全く…最近のガキは…い、いや…だからブルマなのだろうが。
「…あっちに行ってろ、ブルマ!俺はコイツと大事な話しがあるんだ。」
「嫌!!!ぶるま、ベジタと遊ぶぅ!!!」
そう言うと、ブルマは、俺の身体によじ登ってきた。
「……チッ!!」
鬱陶しい。
気が強いのは、ガキの頃からちっとも変わっていないのだな。と…
俺は半ば、呆れながら苦笑した。
「…さ、さすが母さん…。やっぱり父さんが大好きなんだね…。」
「…馬鹿が。感心してないで、さっさと続きを言え。」
「あ、ああ!そうだった!
今日…重役会議が終わった後…俺は、母さんを家に送る為、車でいつもの道を走ってたんだけど……」
ーー…トランクスの言い分はこうだった。
いつもの道が混んでいた為、トランクスは迂回した。
人通りの少ない道に差し掛かった時…
突然、変な生き物が車の前に飛び出して来た。
ツルンとした肌に、丸い目。
ぽっちゃりとしたその体型から…最初は、魔人ブウかと思ったらしい…。
急ブレーキを掛けた為に、ブルマが怒り出し…車を降りて、その生物を叱りつけた所…。
「…そう!正にその時だったんだ…。いきなり、ドロドロドロ〜ン!とか言い出して…母さんを一瞬の内に子供にしてしまったんだ…。で、あたふたしている間に逃げられて…」
「…。ほざけ。ブルマもブルマだが…お前がついていながら何をしてやがる。」
「…そ、それは…重々反省してます。」
トランクスは、しょんぼりと肩を落とした。