Mix Heart
□捧ぐ愛
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「…と、父さぁん!!!どうしよう!!」
事の発端は、この悲痛な叫び声から始まった。
「…何事だ、騒々しい。大の男がみっともない声出しやがって。」
朝から俺は少々機嫌が悪かった。
娘のブラが、また買い物に付き合えだのどうのこうのと…煩かったせいだ。
まぁ…。
結局は、折れてしまったのだが。
「…そ、そんな事言ってる場合じゃないよ!!ど、どうしよう…これ!!」
「・・・ん?」
トランクスの後ろからひょっこりと顔を出したのは、五歳くらいの小さな女の子。
モジモジしながら…じーっと俺を見つめている。
どことなく…
ブラの幼少の頃に似ている気がした。
「…この娘が何だ。」
「よ、よ、よ…よーーーーーく見てよ!」
「…?」
その娘に顔を近づける。
短い蒼い髪に、白い柔肌…。
俺をじっと見据える大きくて蒼い瞳からは、強い光りを感じた。
何故か…
よく知っている、瞳ーー…。
愛しくて…
たまらない…。
「…まさか。」
俺は、その娘を見つめながら絶句した。
「……そうだよ。
母さんだよ。」