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□バレンタインデー
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……圭一くん、圭一くん。
大好きな圭一くん。
レナは何時だって圭一くんを見てたよ。
お勉強の時、わざとわからないふりしてたの、気付いてたかな、かな?
「ねぇ、圭ちゃん」
「ん?」
圭一はシャープペンを机に置き、後ろに身体ごと振り返る
その声、好き
圭一くんは…?
「なんだよ、魅音。わからないとこでもあるのかよ」
「圭ちゃん。もうすぐバレンタインだよね、圭ちゃんはレナと梨花ちゃんと沙都子と私のチョコ、どれが欲しい〜?」
意地悪な質問をする魅ぃちゃん。
どうせ…圭一くんは、レナのを選ぶに決まってる。
…魅ぃちゃんをからかいたいから。そうやって圭一くんも魅ぃちゃんもいつもレナを傷つける。
ねぇ、何で私を見てくれないの…?
一番圭一くんを見てるのは、レナなのに…。
「レナと梨花ちゃんのだな。レナのは甘くとろけそうだし、梨花ちゃんもシンプルそうで、でも積極的…そんなイメージがあるからな!」
「レナはチョコなんて作らないよ」
その場が白ける。
チョコなんて……作りたくない。
結局、作ってしまった。
でも、渡したくない。渡せない…。
だって、圭一くんはどうせ…
魅ぃちゃんしか見てないでしょ?
END.