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□今日も
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いつもいつも、デクスが一緒に買い物に行こうと誘ってきた。
正直、毎回毎回誘われてウザいと思う。
そして今日もまた、誘ってきた。
「アリスちゃーん! 明日一緒にご飯食べに行こうよ」
クネクネと動きながら話しかけてきた。
どうやったらあんな動きが出来るのかな……
すっごい不思議だ。
「だーかーらー、いつも言ってるけど、アリスちゃんは行く気ないのぉ」
「一回だけで良いから!」
何回も何回もしつこく言ってくる。
いつも以上にしつこいなあ……
「あーもう、しつこい! いい加減どっか行ってよ!」
「あ……」
デクスが一瞬すごい悲しい顔をした。
「やっぱ……迷惑だよね。ごめんね」
なんであんな顔するのよ……
普段は普通な顔してどっか行くのに……
─────
ここ最近、デクスが話しかけてこない。
どうしたのかな。
まあ、あんな奴ただの下僕としかみてないけど。
でも……あいつが話しかけてこないと、なんか淋しいな。
仕方ないから一回だけ一緒に行ってあげるかな。
─────
「デクスー、どーこー?」
どこを探しても、デクスは居なかった。
どこに行っちゃったのかなあ……
もう、10時なのに。
まあ、明日探せばいっか。
「……りす……ん!」
ん?
後ろから誰かの声がした。
「あり……ちゃん!」
アリスちゃんの名前を呼んでる?
後ろに振り返る。
「アリスちゃーん!」
「デクス……」
アリスちゃんの名前を呼んでいたのはデクスだった。
しかし、なぜだろう?
「はあっはあっ。……アリスちゃん! ちょっとこっち来てよ」
「えっと、あ、はい」
急に腕を引っ張られて引きずられる。
なんか敬語になっちゃった……
「はい、到着」
ん……
ここは、海?
「ほら見て、ここすごい綺麗でしょ」
少し顔を上げてみたら綺麗な夜空が見える。
無数の星が空に広がっている。
「アリスちゃん、この前はごめんね?」
「え? いつの事よ?」
むむむ、思い出せない……
「あの、しつこく誘っちゃって……。これはこの前のお詫びとしてここに連れてきたらんだ。」
あ、その事だったか!
「あ、もう良いよ。いつものことだし」
「それでね俺、考えたんだ。もうアリスちゃんにしつこくしないようにはどうしたら良いかを」
デクスが真剣な顔で話してる。
珍しい。
「もう、アリスちゃんをご飯とか買い物に誘わないようにすれば、アリスちゃんに迷惑掛からないよね」