サンザシ

□Q1
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AM:6:30


季節は冬。
外は当然真っ暗で人は、ぱらぱらと見かけるくらい。そんな時間帯に何をやってるかと言うと、私は今仕事を終え帰宅中だ。
深夜の仕事と言えば聞こえはアレだが別に 夜の蝶 的なああいうきらびやかな仕事ではない。
普通に24時間開いてるスーパー的な店だ。
もうすぐお客様感謝デーらしきのがあるらしく物量が多いらしいが残業を言い渡されることなく私は無事にいつもの時間に店を出た。



「......ヤバイ、眠い」


ふわぁ...と欠伸をしながら目に溜まった涙を指で掬いながら車の鍵を出してボタンを押したら ピッ と言う短い音がなり鍵が開いた。

ドアを開け車に乗り込むとエンジンを掛けて走り出す。
車内BGMはこの前初めて買ったボ○ロのCD。
好きなPさんだったので思わず買ってしまったのだ。



家から仕事場へは車で15分20分位(正し深夜の交通量が少ない時がだ)ちょっと多目に見積もっても30分位で着くわけで、車内BGMをちょいちょい口ずさみながら運転しているとあっという間に家へ着いた。



「寒い、眠い、早く着替えて寝よう....」



悴む手で鍵を持ち玄関を開ける。
玄関の扉を開け、家の中に入ると直ぐさま鍵を掛けて靴を脱ぎ、家へと上がり、持ってたバックをその辺に放り投げ、コートを脱ぎハンガーに掛ける。


「はぁ〜...いつも思うけど、メイク落とすの面倒いわ〜」


「でも落とさないと後々後悔するのは自分だし....」と自分に言い聞かせ、クレンジングでメイクと落とす。
タオルで顔の水分をぬぐい去ったら化粧水と乳液で肌を整え、ヘアーバンドと結んでた髪と解いてサッとブラシで整えたらバックを持ち2階の自室へと足を進めた。


色々してる間に時刻はAM7:00になってるわけだが、今の季節は『冬』なわけで、AM7:00と言えど辺は真っ暗に等しい。
しかし、真っ暗でも長年暮らしてる勘でどこに何があるか分かっているが、なぜかこの時だけはいつも付けない電気を付けた。
そして、携帯をベッドの方へ放り投げようとした体制のまま私は固まった――――。



「..........................え?」



この時間帯、我が家には私しかいない。
のに、ベッドにはいつもは無い膨らみと端から見える黄色。


「誰?......え、つか、どうやって?」


昨日私が仕事行く前は居なかった、鍵もちゃんと掛かってた。
この人物?(人かどうかはまだ確かめてないけど、布団が規則正しく上下してるから多分、人で合ってる)は一体何時、どうやって家に...ってか、私のベッドに寝ているのだろうか。


「と、とりあえず、起こしたがいいよね?ってか、起こさないと私が寝れないし、安心できない」



「オバケとか恐い人とかじゃないよね....?」と若干ビクつきながら布団の端を持ち勢いよく捲った。
そこから出てきたのは―――――




スリーピングビューティーのイケメンさんでした!!!




「ワォ☆超イケメソ!!」



なんて、某風紀員の口癖が出てきたリしたが、さっきの緊張感は少し減り、イケメンさんを起こそうとイケメンさんの肩に手を当てて揺さぶった。


「もしも〜し...すみません、起きてくださ〜い」



「イケメンさ〜ん?」を声をかけながら揺さぶるが中々起きないイケメンさん。
しかし、この人が起きてくれなければ私が眠れないわけで......と、根気良く揺さぶりながら声をかけてたらイケメンさんから「....っん」と言う声が漏れた。



「あっ、起きました?」


イケメンさんは起きてくれたものの、まだ頭が覚醒してないのかボーッとした表情でこちらをじっと見つめてる。
このままイケメンさんが覚醒するのを待ってても埒があかないので未だ寝惚け眼で時折右手の甲で目をこってるイケメンさんに声をかける。


「(流石イケメソ、何しても絵になる...ハッ!違う違う、そうじゃなくて!!)あの、ちょっといいですか...?」

「ん〜....何っスか〜....?」

「何故、此処にいるんですか?」

「何故って、合宿に来てるんスよ〜」

「合宿?」

「そうっス〜」


このイケメンさんは合宿に来てるそうだ、しかし、何故(なにゆえ)家へ?
家は民宿とかやってないし、お父さんも誰か泊まりに来るとか言ってなかったし....
うん、情報が少なすぎる。
もう少しイケメンさんから情報を聞き出すか。


「こんなとこまで来て合宿ですか....お一人でですか?」

「(こんなとこ?)いや、部の仲間とっス。他に5人いるっスよ」

「5人.....その他の方達は今どこに?」

「どこって、確か他の部屋にいるはずっスよ?」

「........」


他の部屋?他の部屋って何?一通り部屋を通ってやってきたMyルーム。他の部屋に人が居るか居ないかは確認済み。
じゃあ、彼が言ってる他の部屋ってどこ?


「アンタ、さっきからおかしなこと聞くっスね〜...........................って、誰スか?」


寝起きとは思えないくらいポンポンと質問に答えてくれたイケメンさん。
私との会話でようやく頭が覚醒したらしい。
ってか、誰って何?今更?私を旅館又は民宿の従業員だと勘違いしたのか?


「あ〜...誰って、何ていうか、この部屋の主です?」

「何で疑問形?!つか、この部屋って..........ッ!!?」


私の言葉に疑問を持ったイケメンさんは辺りを見回して今の状況を把握したのか表情を険しくし、さっきのフレンドリーさがなくなりちょっと低く警戒した声色で話しかけてきた。


「アンタ、何が目的っスか」

「.......へ?」


言ってる意味が分からず思わず気の抜けた返事をしてしまったが、依然、彼の表情と声は険しいまま。
これはなんか変な方に勘違いしてるっぽいな。......(汗)


「へ?じゃないスよ。何が目的かって聞いてるんス」

「.........(これはやっぱり?私が誘拐か何かしたと思われてる?」

「何か言ったらどうなんスかッ」


何も言わない私に段々イラついてきたのか声が少々荒くなってきた。



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