□博愛主義者の言い訳
1ページ/2ページ




「愛してください。」


この神はエゴで動けない。

んなの、子供でも知ってる。

大の大人である俺が知らない訳ないし、現デスサイズとしてその神の横にいるのだから痛い程知っている。

でも。

人間ってさ、汚い生き物だから、キレイなモノが欲しくなんだよ。

例えば、今みたいなの。


「………スピリット君。お酒入ってる?」

「いいえ、入ってません。俺、酒には強いんで。」

「なわりに、すっごい酔っ払って家に来るじゃない。」


その度に息子さんに朝まできっちりかっちり看病される。

俺はそうじゃなくってと話を戻す。


「愛してくださいって話ですよ。」

「愛してるよん。」

「それはデスサイズとしてですか?スピリット・アルバーンとしてですか?」

「一体どうしちゃったの?」

「いいから、答えてください。」

「う〜ん。そりゃあ〜。デスサイズってのが大きいよ。」

「じゃあ、そのデスサイズの俺だけを愛せるって言えますか?」


その一言で死神様の空気が変わる。

波長を読める事だけは得意な俺の前で動揺とかそんなの意味ないのに。

どんなに大きな魂の波長でも小さな変化はわかる。


「スピリット君、あのね。」


あー、またか。




博愛主義者の言い訳
いっつもこうやって言い包められんの。








end

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ