狂
□ホワイトチョコ
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そして、先輩は俺が見ているのに女の頬にキスをして店から出て来た。
あんな先輩を見るのは学生時代以来だったから、少しは驚いた。
店から出て来た先輩は真っ直ぐに俺の方に向かってやってきた。
「どうしたんですか?まだデート「黙って歩け」
「なんでですか?」
「いいから。」
「先輩?」
「早く」
俺に何も言わせたくないらしい。
先輩は俺の腕を掴んで歩き出した。
今回は大人しく従ってた方がいいと本能的に思った。
明らかに先輩の機嫌が悪い。
だいぶ歩いた時、急に先輩が立ち止まったので俺も止まる。
「一体どうしたんですか?」
「すっごく、腹立つんだけど。」
「デート邪魔した事ですか?無視してくれたらよかったじゃないですか」
「違う。あれはデートでもなんでもなかったんだよ。つーか、俺は別に行きたくておあんな場所行った訳じゃねぇんだよ。」
「は?」
「シュタイン」
「はい。」
「ありがとう。お前がいなかった俺はどうなっていたやら。不服だが、お前には礼を言わなきゃな」
先輩。
全然話が見えないんだけど。
俺は頭のネジを回した。
「どういう事ですか?」
「あれ?お前知らなかったっけ?」
「何をですか?」
俺が先輩の事において知らない事なんてないんだけど。
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