正
□お荷物でもいいから
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あのデスサイズが愛娘に手を上げてしまった理由はいたって単純。
『私はいらない子だったんじゃないの』
浮気性の父親に嫌味で言った一言だった。
『ママじゃなくてもよかったんでしょ?私だって若気の至りとかだったんじゃないの』
その一言でデスサイズはマカを叩いた。
誰が娘をいらないと思う。
どうでもいい女との間に子供を作れるほどデスサイズは酷い人間じゃない。
「見つけた」
「!」
「こんな所にいたのかぁ。ここじゃ、冷えただろ」
マカが居たのはいつの日か二人で夕陽を見たバルコニー。
小さくなっていたマカに自分の上着を差し出すが払われた。
「何しにきたの?」
「痛かったよな。ごめんな」
「………」
「マカがあんなに悩んでたなんて。パパは本当に最低なパパだな。」
「………」
「だけどな。マカ。マカをいらない子だなんて思った事ないし。ママじゃない人でよかったとか思った事ないんだ。」
「説得力ない」
「………ないよな………」
ハハハと力無く笑う父親の横顔をチラリと見てマカは口を開いた。
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