□愛されてました。
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「うわ〜。目元なんてさ、キミそっくりじゃない!」


目を開けたら僕を覗き込む暗い瞳があった。

多少光が入っているものの暗い印象がある。


「かわいい〜。ね。」

「そう?」

「素直じゃないな。かわいいよ、キミそっくりだし。」


男だと思う。

声が低いし、僕を抱えている手が大きい。

その人は振り返って、同意を求めていた。

聞いたことある声がする。


「メデューサにそっくり。ほら、ママだよ〜」


その人はベッドに寝ているメデューサ様に僕を差し出した。

メデューサ様は起き上がって、僕を抱く。

ちょっと冷たいメデューサ様の腕の中。

こんな感覚は初めてでどう接したらいいかわからない。

だから、じっと見つめてみた。

きっと、僕は赤ちゃんでメデューサ様から生まれたばかりなんだと思う。

それは何十年って昔の話なのに、メデューサ様の外見は全く今のままだった。



「おい。」

「あっ。」

「あっ。じゃねぇだろ。一人で先に行くから俺が迷子になっただろ。」

「ラグナロクが歩くの遅いの。それより、見て見て!僕の子供。かわいいでしょ?」


ラグナロクと呼ばれたのは僕ぐらいの少年だった。

目つきが悪い。

今も十分ホラーで恐いんだけど、このラグナロクも恐い。

(たぶん)僕のお父さんが僕をラグナロクに渡す。


「キミのパートナーだよ。」

「………。」

「キミの体にもなるんだからね。しっかりお世話してよ。」

「………はぁ?」


僕を抱いてくれてるラグナロクは心底嫌そうな顔をした。










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