□痛いのは好きだ
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痛いとか、そんな感覚がなくなるぐらい殴られた。

毎日の日課にもなりつつあるラグの暴力に僕は反抗も抵抗もしなかった。

したって殴る時間が延びるだけで僕になんの得もないから。


「クロナ」

「なに?」

「痛くないのか?」

「わかんない。」

「そうか」


また殴られる。

一回だけなんで殴るのか聞いたことがある。

理由はないと言われた。

僕も別に理由なんていらないなって思うようになってきた。


「クロナ。」

「なに?痛くないよ」

「痛いとか言わせねぇーよ。ボケ」

「うん・・・」

「血ぃ。黒いな。」

「黒いよ。」

「オレがいるからなんだよな。」

「うん。ラグナロクがいるからだよ。」


僕の血は黒い。

硬い。

冷たい。

でも、僕は大好きなんだ。

こうやって理不尽にラグナロクに殴られるのも、黒い硬い冷たい血が固まって全身がカピカピするのも
頭がボーっとするのも。

慣れてきたのもあるかもしれないけど。

僕はこうやってラグナロクに真正面から殴られるのが好きなんだ。


「好きだよ。ラグナロク」

「知ってる。お前は殴られるのが好きなド変態だからな。」

「違うよ。ラグナロクだから好きだからだよ。」


本当に?

誰かが聞いてきた気がした。




痛いのは好きなんだ。


だって君が僕にくれるものなんでもの。






end

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