□神様と神様の話
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ぶんっと大剣を振るうと、背中からも手が生えてきた。

五本の腕と五本の剣。

なんともバランスの悪い。


「クロナ。その腕なんとかならないのか?」

「え?何が?」

「何もない。」

「そう。何もないんだね。」


銃の破裂音と鉄のこすれる音が響きわたる。

黒い服をひるがえしながら、二人の神は世界の秩序のためにぶつかり合っている。


「クロナ。俺は」


大剣を足で投げ払いながら、叫ぶ。


「お前が好きだった」


腹に銃口を当てると、容赦なく引き金を引く。

激痛が走りクロナは声にならない悲鳴を上げる。


「今でも俺はお前が好きだ。だから、」


濁った瞳がじっとキッドを見つめる。

その奥にうっすら光が差し込んだのが見えた。


「お前の生皮を剥がさしてくれ。俺の魂で封印させてくれ。手元に置いておきたいんだ。どんな形であれ。俺はお前を手に入れたんだ。お前を手に入れるためならなんだってする。死神として失格かもしれんが。俺はお前が欲しい。」


細すぎる腕を掴み強引に引き寄せると、カサカサの唇に吸いついた。

びくっと震えるが抵抗はしない。

ゆっくり離れるとクロナは大きな目に涙目を溜めていた。


「キッド・・・助けて」

「クロナ?」

「僕・・・どうしたらいいのか、わからないんだ。僕、苦しいんだ。」

「何がだ?」

「君を殺して、君の代わりにこの世界の神なりたいんだ。君の愛した世界を愛してみたいんだ。なんでなんだろ。僕は君の命が欲しいんだ、キッド。助けて。どうしたらいいのかわからないから・・・・怖いんだ。」

「そうか。」





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