□神様と神様の話
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「前の俺ならきっと、『良いぞ』と言ったのだろうな。今も、そう言ってやりたい。だが、俺は世界の秩序を守る神だ。一個人の想いなど優先するべきではないのだ。だから、却下だ。鬼神。貴様はここで死んでもらう。」


愛用の二丁拳銃を構えるキッドにクロナはぼそっと『けち』と呟いた。

クロナはそこからキッドに興味をなくしたように体ごとそっぽを向いた。


「クロナ。なぜ、鬼神になったんだ。あの時。マカが助けに行った時に。どうして救われようと思わなかったんだ。」

「マカってだあぁれ?救われるってなあぁに?鬼神って誰のことぉ?わかんないよ、わかんないことは怖い事なんだよ。わかんないことがあるからこの世界はおかしいんだよ。わかんないものがなくなれば僕は安心して眠れるんだ」

「あの時はメデューサもいなかったんだろ?それなのに。どうして。鬼神になってんだ。お前は神になりたかったのか?」

「神に??あぁ、それってキッドとお揃いだね。」

「・・・」


クロナに何を言ってもたぶん聞こえないのだろう。

キッドが言っている言葉もすべて彼にとってはわからないものになっているはずなのだ。

ただ、キッドにとってはなぜか楽しいそうに笑うクロナが愛おしく見えてきた。


「クロナ。お前は神様なんだろ?」

「そうだよ。僕は神様だ」

「じゃ。願いを聞いてくれないか?」


キッドの言葉にクロナは小さくうなずいた。

キッドは真っ白な骸骨の面をかぶると籠った声で言った。


「死んでくれないか。そして、俺も殺してくれないか」

「・・・いいよ。殺してあげる。どんなのがいい?刺し殺す?それとも焼き殺す?絞め殺す?叩き殺す?溺死する?爆死する?毒殺?どんなのがいいかな?」





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