□この関係の先に何があるのでしょうか?
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ラグナロクはズボンをはいた。

そして、ベッドの上で裸のまま状態を起こして、ぼっとしているクロナを見た。

白い体は骨と皮しかついていない貧疎な体だ。

さらに、今は青あざと紅い鬱血痕まで付いている。

眼はうつろでどこを見ているのかも分からない。

クロナはいつでもそうだった。

ラグナロクと性行為に励んでいるときでも、クロナの眼にはラグナロクが映ったことはない。


「俺はもう行くぞ。次の授業は出るんじゃないのか?」

「うん」

「だったら、さっさと服着ろ。それともその汚い体誰かに見せたいのか?」

「・・・そんなことないもん。もん」

「誰も見たくないけどな」

「じゃ、なんでラグナロクは抱くの?」


服を投げつけてその質問には答えない。

そんなのラグナロクのほうが知りたい。

肉つきもよくないし、どんない激しくしても声もあげない。

むしろ、クロナが達したことなど数えるほどしかない。

人形を相手にしているような気さえするのに、どうしてこんなにもクロナが欲しいと思うのだろう。


「じゃな。」

「うん。」

「・・・」

「あ。」

「なんだよ。」

「次の約束はしないの?」


したくない、といえばクロナは無表情で頷いた。


「じゃーな」

「バイバイ」


二人はそれだけの関係だった。

クロナは保健室のベッドから降りると教室には向かわずに図書室に向かう。

誰もいないような図書室の奥にいつも彼はいた。


「キッド」

「クロナ。どうした?授業中だろ?」

「・・・」


クロナに背を向けて、答えたのは同じクラスのキッドだった。

君だってサボってるくせに、と思うが言わない。

クロナはぎゅっとキッドの背中に抱きついた。


「どうした?」

「キッド・・・」

「ん?」

「大好きだよ。」

「そうか。俺も好きだ。クロナ」


暖かい。

この人はあの人より優しい。

欲しいものはすべてくれる。

僕はこの人のほうが好きなのに、抱かれたいと思うのはあの人で。

それをこの人は知らない。

知ったときにこの人は僕を捨てるのだろうか。

あの人に負けないぐらい乱暴に抱いて欲しいと思う。


「キッド」

「なんだ?」

「キッドは僕を嫌いになる?それともならない?」

「・・・ならないよ。クロナ。どんなクロナでも俺はきっちり死ぬまで愛してやる」

「うん。」


楽しみにしている。

クロナは何も写さない瞳にやっと写した。

それは二人の間で死に逝く自分の姿だった。

愛しされて、愛されて死んで生きたい。


「大好きだよ」


二人とも。

クロナはキッドにもっと強く抱きついた。

キッドはそんなクロナの腕をギリリと握った。

放さないとでも言うように。



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