□俺の方が君にふさわしいはずだろ?
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「あぁ」


そう呟いてそっと猫ッ毛気味のクロナの髪を撫でる。

サラリと流れるのが好きだ。

それを楽しんでいると、クロナが困ったように見てきた。


「どうした?」

「なんか・・・恥ずかしい・・・」

「そうか?」

「うん・・・」

「クロナ、可愛いな」

「え?な・・・可愛くなんかないよ、どう接したらいいかわかんなくなってきたよ・・・」

「素直にありがとうでいい。」


そう言えばクロナは素直に小さい口を開こうとした。

バシッと大きな音がした。

どうやら俺の手は叩かれたらしい。

もちろん、叩いたのはクロナの中に住んでいる彼の武器である、ラグナロクだろう。


「キッド!!!」

「おい、クロナ。何してんだよ。」

「ラグナロク・・・違うの・・・違うの・・・」

「何が?俺まだ、何も言ってないぞ?クロナ。何が違うんだよ?」

「あ・・・あう・・・」

「答えろよ。あ?答えれないってか?おいおい。俺は『何されてたか』って聞いてるだけなのによ」


ガタガタっと背中から出てきたラグナロクに押し倒されて殴られている。

硬い音がする。

クロナの泣き声も聞こえる。

助けないと、俺は慌てて手を伸ばしたが、何が鋭いもので刺された。


「っ!!!」

「キッド!?ラグナロク、何するのさ。キッドを傷つけるなんて」

「俺が誰傷つけようと、関係ないだろ?なんだよ。クロナ。いつから俺に逆らえるくらいに偉くなったんだよ?おい。」

「あうっ」

「お前は俺のモンだろ?何かってに頭撫でられて『可愛い』って言われて恥ずかしがってんだよ。気持ち悪いんだよ!!!!撫でて欲しいのか?おい」


クロナの顔面を床にゴリゴリと擦り付けていた。

くぐもった声が聞こえて俺は思わす大声を出した。


「やめろ、ここは死武専で死神の領地だぞ。」

「・・・で?」


表情のない怪物が、涙と血で濡れたクロナの顔を舐めとる。









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