□つまらない
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何処を見ても白色がない。


「………まっ。そうだけどさ。」


俺の目の前に溢れているのは黒。

何色にも染まる事のない神の色。


(いや、神なら純潔の白でもいいよな)


染まったらその部分だけ取ればいいじゃないか。

お前もそうしたらよかったんじゃないか?

そうしたら、ずっと俺の目の前に白があり続けただろ?


「デスサイズ君。」

「どうしたんですか?死神様」

「痛くないの?」

「はぁ?」

「茶の湯が割れちゃってるよ。怪我してない?」


いつの間にか持っていた茶の湯を粉々にしていたらしい。

ポタリと手の下に血が垂れて小さな水溜りが出来ていた。


「………いった!!!」

「もー。うっかりさんだね〜」

「気付いたんなら言ってくださいよ!!」

「ごめんね」

「あの、死神様」


こんな事神に言うのは間違っている。

分かっている。

でも、言わずにはいられなかった。

俺の手に包帯を巻いてくれている目の前の黒に。


「どうして黒なんですか?」

「好きだからだよ」

「白でもよかったんじゃないですか?」

「それはさ、」


死神様が困ったように首を傾げた。


「シュタイン君の色になっちゃうじゃない」




つまらない
お前がいないと、つまらないだろ馬鹿野郎







end

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