□俺の方が君にふさわしいはずだろ?
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「ね。これ。面白いかな?」

「え?」

「・・・こ・・・れ?」

「おもしろいぞ。特に、このページの絵が素晴らしく左右対称でな」

「そうなの?」


図書館で差し出された本の素晴らしさを説明してやる。

これは、俺はシンメトリーに目覚めるきっかけをくれた素晴らしい本だ。

ぜひ、クロナにもその素晴らしさが伝わるといい。

二人で一冊の本を見る。

額と額がくっつきそうで、くっつかない。

そのもどかしい距離が俺は好きだ。

はっきりしないし、左右対称ではないがこの曖昧な距離が俺は好きだ。


「キッドは・・・なんでも知ってるね。」

「そうか?」

「うん。もの知りだよ?」

「・・・そうか。」

「うん」


身長はきっとクロナの方が高いかもしれないが、いつも猫背で見上げるような視線で自然と上目遣いになっている。

今は俺しかそれを見ていない。


「クロナ」

「何?」

「わからない、ことがあればいつでも聞けばいい。俺はなんでも答えるから」

「うん、ありがとう」


ヘラリと困ったように笑った顔は好きだ。









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