□狂ってるなんて言わせない
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スピリットはもの凄い勢いであの女を追いかけて行って、戻って来てくれた。

いつもスピリットは違う女を連れて歩いてるのにあの女だけが、ずっと横にいる。


(でも、俺の方がスピリットの事知ってるんだ。)


隅々まで。

スピリットのことは全部、全て。


「ったく、足速いよなアイツ」

「仲いいよね。もう、アイツと付き合えばいいじゃない。」

「………」

「?」

「考えた事なかった。」

「え?女の事ずっと考えてるのに?」

「バカ、お前のことが大半だ。」


むっとした顔でそう言ってくれた。

本当にスピリットは可愛い。

大半じゃなくて全部で考えて欲しいけど、いいや。


「それにさ、アイツは親友みたいなもんだからな」

「そうか。」


脈なしだって言ってやりたい。

そしたら、あの女どんな顔するんだろう。

それから、だらだらと歩いて学校に着いた。


「じゃ、門の前だな」

「うん。」

「頑張れよ」

「そっちこそ」

「生意気」


スピリットがグシャッと俺の髪を撫でてくれた。

こうされるのは嫌いだけど、スピリットになら嬉しい。

学年が違うのでクラスも階も違う。

去っていく彼をどこかに閉じ込めて仕舞いたい。






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