□あきれるくらいわがままな自由
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「直也の馬鹿っ!最低!」


直「いてっ…!お前が悪いんだろ?ふざけんな」

「もぅ……別れる」


直「おいっ…」


温もりとか痛みとか
確かなものが淡く消えてく
 



いきなり別れを告げられた俺は
ただ呆然と立ち尽くしていた。



俺の彼女は束縛がすごい。
最初は愛されてるなーとか
思ってたんだけど、
だんだん厳しくなって
この結果。

だけどやっぱり好きだから…。




直「やっと見つけた…。電話ぐらい出てよ…」

「なんでよ。あたし達別れたし。連絡とる必要ない」

直「俺は別れるなんて言ってない。」

「ちょっ…やめてよ!街ん中でっ……離して」


君の体にまわした腕は
簡単にふりほどかれた。


からっぽの身体をすり抜けてゆくんだ




「………ごめん」

直「え?」

「……束縛なんかしてごめんね。だけどねっそれだけあたしは直也が好きなの…っ。今もだよ。」


直「ほんとに…?」

「さっきもごめん。人前で抱きしめられたりするのいやなの…」

直「よかったっ…」








翌日





直「え…?……ほんとですか?」


俺は一本の電話で
頭が真っ白になった。



俺は急いで病院へかけつけた。





医者「何かで疲れていたのでしょうか…。赤信号を渡って車に………」


君は真っ白なベッドに寝ていた。


直「……嘘だろ。……」


医者「疲労が原因ですね。赤信号を渡るなんて…」


直「助かる…んですか?」


医者「これ以上の処置は……何もできません」


直「……っっ!!」


いつもそうだ……。
いつも心配してくれた。
仕事で帰るのが遅い時も
君は夕飯を食べないで
待っててくれた。
なんでも自分のことは
後回しだった。


手に入れたものはそのとたん見失う







君は亡くなった。




この部屋の空気の
あの甘い匂いが薄れてく気がして
息ができなくなるんだ

もう一度だけこの胸に...





俺は子供みたいに
泣きじゃくった。




もう……君はいない。
あの頃の俺達は
いない。



あの髪の香りを
繋いだ指先を無邪気な微笑みを
もう一度...もう二度と...






俺は今日も君が好きです。









あきれるくらいわがままな自由



 

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