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□真白っな彼に愛のしるしを
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早朝、目覚めたら居るはずのないやつが目の前に居た
「あっ、お早う。クリード♪」
「…インカローズ!!」
「何用ですかクリードさ…貴様どこから、入った!」
どうやらインカローズも知らなかったらしい
インカローズを気にもせず、やつは私に近付き固まった私の髪に口付け、微笑んだ

「お早う、クリード。今日も愛してるよ」
「…帰れ!」


今私を愛してるなど馬鹿な事を抜かしているのは私の元器ーシング=メテオライトである

「意味がわからん…」
「何が?」
「貴様の言動、行動全てだ!」
今も奴は私の髪を手櫛で漉きながら、寝間着のボタンを外しながら嬉しそうに笑っている

「な、何をしている!」
「着替えのお手伝いだけど?あっ、ちょっと着せるのは無理だけど」
どうやって着るの、この服
とインカローズが置いていった服を持ち上げるのを奪い取り、器を押しのけベッドから降りる
「さっさと仲間どもの所に帰れ」
奴に背中を向けた途端背後から抱き付かれ、身動きが取れなくなった
「離れろ」
「冗談だって…」
奴に引っ張られ、膝の間に座るようにベッドに座らされる
そして抵抗する間もなくあっという間に着替えさせられる
自分が着るよりも綺麗に着付けられ、礼を言う
「た、助かった」
「どう致しまして」
手櫛で再び髪を整えながら、返事を返される
そして、ぎゅっと抱きしめられ優しく耳元で囁かれる
「知ってるよ、クリードのことなら何でも」
振り返らされ、真摯な瞳が私を見つめる
「好き、愛してるよ、クリード」
「わた、しは…」

「ウィンドカッター!」
食事を持ってきたインカローズに、器が軽く吹っ飛ばされた
「クリード様ご無事ですか!?」
「あ、あぁ…ふん、いいざまだ」
「ひどいよ、クリード」
「ちっ、当たりどころがよかったか…クリード様朝食です」
「オレの分は?」
「期待していたのか?」
バチっ
あれ、気のせいかな。二人の間に火花が見えるんだが…

ぼーっとしていると器に引っ張られ、ソファに座り、タイミング良くインカローズが朝食を机に広げる

なぜか2つあるデザートに疑問を覚えると、インカローズがスプーンをつけて器に渡す
「朝食はないが…、これだけは恵んでやろう」
「うーん、美味しそうだけど…もう帰らないとね。クリードにあげる、好きだよね」
「あ、ああ…」
渡されたプリンを置き、どこからか赤い紙袋を出し、渡してきた
「これ、渡しに来ただけなんだ」
「そうか、帰るのだな。塩を撒いておきますねクリード様」
「自分の体に?ショートしないように気をつけなよ」
温度が2、3℃下がった気がして紙袋に話題を変える
「な、何なのだ。コレは?」
「手作りチョコと…その他」
その他!?
「そんな怪しいモノをクリード様に食べさせるか!」
「物体透過認識システム?くらいあるだろ。食べても害はないよ」
じゃあね、クリード。愛してる
とのたまった後私の額にキスを落として、奴は思念術を使い帰っていった
「…嵐のようだったな」
「すぐに検査して参ります」
「いらん事をするな、意味がわからん奴だが毒を盛るようなやつではない」
「…畏まりました」


朝食を食べ終わった後、インカローズが見張る中チョコに手を伸ばす
大きめの丸いトリュフ
一番大きいものを一口かじる
歯に何かが当たり、引っ張り出したのは…
「指輪…ですか?」
赤い石の付いた、おもちゃの指輪

「意味のわからん奴だ…」
洗っておくように言ってインカローズを下がらせ、紅茶のカップを手に取る

小刻みに紅茶の表面が波紋を作っていた

 
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