日常と放浪者を繋ぐもの
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市場で買った硬いパンを食べ終わった後、瑞々しい果物を食べ終えたら、引き続き砂漠での調査をしようと考えていた。
砂漠にいるとどうも喉が焼けるので、水分をたっぷり含んだこの果物に体が喜ぶ。
手についた僅かな果汁も逃すまいと指を舐め、立ち上がる。
「今日もやるかぁ。」
ジンは砂漠へと足早に向かっていった。
未知なるものに出会えるかどうかを基軸に、ジンは仕事を選ぶ。
僻地であっても、過酷な気象条件であっても、時には生命の危険が伴おうとも、そんなことは厭わない。
己の知らないものに出会ったときの感動のために、この時を生きる。
その都度自分が新生する様な感覚を、他の人にも味わって欲しいと思う。
世界はまだまだ広くて、驚きに満ち溢れていることを知って欲しい。
それは使命感というよりも、共感として他人と共有したいからである。
つまりは自分のためなのだ。
この砂漠には、古代文明が眠っているという。
さまざまな文献の情報から歴史学者が類推したところ、ちょうどこの砂漠のあたりになるというのである。
その学者の仮説から、ジンは大体の遺跡の位置を特定しようとしていた。