マクロス零

□立ち向かえ
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パカ。

下駄箱を開ければ、紙切れが一枚入っていた。


(14・・・?)


14。それは工藤涯の年齢と同じ数であった。
しかしだからといって何故この数字が俺の下駄箱にあるのかが分からない。
14歳の奴なんていくらでもいるだろ・・・と思いながら涯はその紙を折りたたんでゴミ箱に捨てた。


また別の日。今度は「10」と書かれた紙が入っていた。しかも赤字だ。

涯は怪訝に思った。
何の為に。前回の数字と何か関係があるのだろうか。
14と10の関係性について考えようかとも思ったが、涯はそれをしなかった。
確かに何だかもやもやするが、そんなことに時間を裂くのも下らないと思ったからだ。
涯はそれを縦に裂いてごみ箱に捨てた。


また数日後。今度は「5」と書かれた紙がそこにあった。
前回よりも主張された赤字だ。


(何なんだよ・・・。)


涯は数字でしか語らない誰かにいらつきを覚えた。
何か言いたいならはっきりと言えばいい。
涯はくしゃっとまるめてごみ箱に放った。


そして金曜日。
下駄箱の中には「1」と書かれた数字があった。


(・・・・あ。)


涯はようやくその数字が表す意味に気付く。
14、10、5、1。
数はばらばらながらも、その数はだんだんと減っている。
1の次は0・・・そして明日は例の文化祭の日・・・。

涯はぞっとした。明日は0・・・零の日・・・!!!
零なんて名前の奴はそうそういるものではない。

この仕業は、きっと宇海とか言う奴によるものだ。
粘着質なこの行為に涯はそら恐ろしくなる。
けれども、本当に宇海という人物が数字を下駄箱に入れ続けていたのかというと、証拠があるわけではない。

涯ははぁー・・・と重い溜め息をつく。
そして今更ながら、誘導係の失言に腹が立った。
あいつさえあんなこと言わなければ、俺は孤立へと近付くことが出来たのに・・・。

零の笑顔が涯の脳内に浮かぶ。
あの明るい笑顔に俺は騙されてしまったのだ。
いやいや、でも本当に宇海先輩がやったとは限らない・・・。
涯の猜疑心と良心がせめぎあっていた。


(どっちにしろ、明日は行かなければならない。)


紙を握り締め、0の明日に向けて涯は覚悟を決めた。

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