SS

□Dear you...
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季節は12月。
冬も本格的になり始めて、やはり寒い。

今日は珍しく騎士団の仕事が早く終わった。
しかし、ナナリーはもう寝てしまっただろうか。

(…そういえば、最近全然構ってあげられてないな…。)

今度欲しがっていたぬいぐるみでもプレゼントするか、などと考えながら俺は冷えた身体を温めるべくシャワーを浴びた。


(今日は早く寝るか。)

俺は連日の寝不足を少しでも解消しょうと足早に部屋に向かった。
そうだ、今日はあの緑の魔女もピザがなんとかで騎士団のアジトに残ったままだ。
久しぶりにゆっくり出来る。
………はずだった。



─カシャッ。

「あ、ルルーシュ!お帰りなさい!!何やってたの?女遊び?」

「……。」

なんだ、今のは。

俺は咄嗟に一歩だけ入っていた部屋から出た。

疲れでも溜まっているのかな。幻覚が見えるなんて。

「…っわあぁあ!!ごめん、ルルーシュッ!君がそんな事する訳ないよね!!」

「おい、スザク…。何しに来たんだ?」

「もちろん、君をお祝いに来たんだよ!」

「…は?」

「あれ?もしかして覚えてないの?…12月5日。君の誕生日だよ」

「あ…。」

すっかり忘れていた。
しかし、いくらなんでもこんな時間に来る奴がいるか?それにまだ今日は4日だぞ。

「…まぁ、誕生日を忘れるなんて君らしくもあるけどね」

「そうか?」

「うん。とりあえず、部屋に入ったらどう?」

「あぁ。」

おい、スザク。ここはお前の部屋じゃないぞ。

「…で。なんでお前はこんな時間に来たんだ?大体、軍はどうした。」

「いや〜。誰よりも早く君を祝いたくてさ!それに軍は休みなんだよ。ちょうど君の誕生日に休みが入るなんてさ、デスティニーかな!?」

何故そこだけ英語で言った。

「あ、ありがたいが、スザク。お前だって仕事で疲れているだろ?ゆっくり休んだらどうだ?」

「大丈夫だよ、ルルーシュ!!僕は体力馬鹿だよ!」

自分で言うか、それ。

「それに、君の大好きなプリンだって買ってきたんだよ!!…あ、もちろん本当の誕生日プレゼントは明日学校で渡すけど!」

「…う。それは嬉しいがな、今の俺にとっては寝かせてくれる事が本当のプレゼントなんだよ…。」

悪いな。だが、本当に俺は眠いんだよ、スザク。

「えぇー!!僕、12時ちょうどに君にキスするって決めてたのに!」

「お前な…。」

堂々と恥ずかしい発言をするな!!

「それに、君が生まれてきてくれた大事な日なんだよ。君は僕にとって本当に、本当に大切な人なんだ。だから……。」

(は、恥ずかしい奴め…!!)

「…っていうか、好きな人の誕生日ちょうどにキスするのが僕の夢なんだよね。」

ズゴー。

(なんなんだ、こいつ…!)

「あーもー!!仕方ないな…っ!俺が寝たら好きなようにしろ!!だがな、寝たらだぞ!!」

「…え、それって…。」

「だ…っ、だから!寝かせてもらう代わりに、その夢とやらを叶えてやっても構わないと言ってるんだ!!」

「え、本当!?いいの?」

「あぁ。でも、ちゃんと僚に戻るんだぞ?」

「分かってるよ。さ、寝て?…なんなら子守唄でも歌ってあげようか?」

「全力で遠慮する!!」

「あはは。ヒドイな〜。」

「…なぁ、スザク。」

「ん、何?」

「…手、俺が眠るまで握っててくれないか…?」

「…え?あ、うん、分かった。離さないからね。」

「…ありがとう…。」


そしてルルーシュは眠りについた。
…余程眠かったんだろうな。
それに、あんな事を言うなんて…少し寂しかったのかもしれない。

僕は繋いだ手を少し強く握る。
離れないように、…離れられないように。

(誕生日おめでとう、ルルーシュ。…そして生まれてきてくれてありがとう。ずっと大好きだよ…。)

…─だから、どこにも行かないで。僕を1人にしないで…──。







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